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海自トップが引責辞任へ 特定秘密、無資格隊員ら10年近く違法運用

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編集委員・土居貴輝
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 海上自衛隊護衛艦隊の10隻以上の艦艇で、安全保障に関わる機密情報「特定秘密」を、資格がない隊員に扱わせるなど違法な状態が続いていたことがわかった。10年近く常態化していた恐れもあり、海自トップの酒井良・海上幕僚長は引責辞任する意向を固め、木原稔防衛相に伝えた。防衛省は関係者の処分を検討している。

 2014年に施行された特定秘密保護法は、防衛や外交などに関する「特定秘密」に指定された情報を扱えるのは適性評価を受け、認められた人のみと定めている。適性評価は政府などが行い、犯罪歴や借金、精神疾患の有無や飲酒傾向などが調べられる。

 しかし、政府関係者によると、護衛艦隊に所属する約60隻の艦艇のうち少なくとも十数隻で、適性評価を受けていない隊員を特定秘密を扱う職務に��け、艦橋や艦内の戦闘指揮所(CIC)のモニターに表示された船舶の航海情報といった特定秘密を取り扱わせる運用が続けられていたという。

 海自は今年4月、護衛艦いなづまの22年当時の艦長が、特定秘密を扱う資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名していたと発表。これを機に他の護衛艦も調べたところ、イージス艦も含めた広範囲で、同様の運用が続けられていたことが分かった。

 制度が始まった14年以降…

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2024年7月6日7時35分 投稿
    【視点】

    特定秘密保護法は、国会審議の場などで様々な問題点が指摘されました。政府は「我が国の情報管理に対する国際的な信用が増して、米国を始め関係国との間で質の高い情報交換をより緊密に行うことができるようになりました」(安倍晋三元首相)��、制定の意義を

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