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許家元と志田達哉の対戦は過去7局ある。成績を見て驚いた。許の全勝である。志田が得意とする細碁もあるが、数え碁になった2局はいずれも許の半目勝ち。相性があるとはいえ、トップ棋士同士でこれほど偏るのは珍しい。
今年の志田はここまで5勝5敗。名古屋のエースのひとりとしては物足りない数字だ。名人リーグもいまだに勝ち星がない。ただ、彼は置かれた状況に頓着しない。とにもかくにも目の前の一局だ。
3月4日、日本棋院東京本院「幽玄の間」。上座についた志田はほとんど時間を使わず打ち進める。
黒17の守りに、志田は1分の考慮で白18とケイマした。以前なら、まずは白19とヒラいて根拠を求めたものだ。「白18は上辺の模様が大きくなるのを嫌いました。この手では白19も好点。気分で選ぶくらいのところです」と解説の伊田篤史九段。あえて黒19と迫らせ、白20と迎撃する。
戦いは許の望むところ。黒21と迫り、23と左辺の白の挟撃も兼ねるカカリに回った。
白24から28に対して、黒29と肩をついて白34まではAI時代の定形。白は取るものは取っておこうという、志田好みの進行だ。
黒35とボウシされて、白は盤左側に弱い石がふたつできた。どんなサバキを用意しているのだろうか。
(内藤由起子)
消費 黒:13分 白:26分 (持時間各5時間)
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