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Web3.0 勉強会
iscream株式会社
2022年4⽉
iscream株式会社
Web3.0へ⾄る世の中の流れの中でのサービス開発を⽬的として2018年に始動、2019年末に会社設⽴。クリエイ
ターエコノミー、Crypto/ブロックチェーン関連を中⼼に事業を展開。
• Creator Economy
• Decentralization (Blockchain)
Mission
Focus
2018 2019 2020
暗号資産ウォ
レット開発検討
ブロックチェーンサービス検討
2021
• PDS(PersonalData
Store)事業調査
• PDS/スキル活⽤ア
プリ開発・PoC
オンラインスキルシェアツール 開発・運⽤
• 開発開始 • サービスローンチ
• MVP開発 • 500 Startups
KOBE採択
2
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Taiki Narita
Founder/CEO
• iscream創業前はYouTube MCNの会社で創業
メンバーとして戦略・事業開発を担当
• 総合商社にて国内外のM&Aとスタートアップ
投資の実務を10年超
• Harvard⼤学MBA
• 東北⼤学⼯学研究科修⼠
Empower individuals in the world to maximize their value
All-in-one solution of online
school operation
Product
https://coperi.app
@ naritaiki
mirror.xyz/naritaiki.eth
note.com/naritaiki
1. Web3.0とは
• 概要
• ブロックチェーン
• スマートコントラクト
• データ所有・アクセス
• Web3.0 Stack
2. 市場環境
• 概況・市場規模
• NFT・DeFi・DAO
• 最近のビジネスモデル
3. Web3.0の特徴・従来のビジネスとの違い
• トークンエコノミー
• カルチャー
• 競争優位性
• サービス構築
• 投資
1.0 (ʼ90-ʼ05) 2.0 (ʼ05-ʼ20) 3.0 (ʼ21-)
TCP/IP, TLS/SSL
HTTP, SMTP
ホームページ
メール
アテンションエコノミー
情報の⺠主化
ブロードバンド, 4G,
クラウド
SaaS
ブログ・ SNS
ギグエコノミー
情報の分散化
価値の中央集権化
ブロックチェーン,
エッジコンピューティング, VR
Crypto(暗号通貨, DeFi, NFT, etc.)
メタバース
オーナーシップエコノミー
情報・価値共に分散化
Web3.0とは
1991年のWord Wide Webの登場以降、プロトコルの確⽴、回線の⾼速化に伴いインターネットは進化を遂げ⽣活
に必須のインフラとなった。⼀⽅で、⼤きな課題に直⾯し、それを解決するWeb 3.0の世界が急速に進んでいる。
キラー
サービス
主要技術
新たな経済
パラダイム
シフト
世界的な法整備情報保護の動き
• 2018年に欧州でGDPR施⾏、⽶国加州
でCCPAが成⽴
プラットフォーマーの⾼い⼿数料や利⽤
制限に対する批判の⾼まり
• Epic GamesのAppleに対する訴訟
プライバシー問題
ユーザーの情報・コンテンツを保有するプ
ラットフォームの情報の濫⽤・流出
Web 2.0の課題
価値の独占
⼀部の⼤⼿Tech企業がユーザーに対して
優越的地位を持ち価値を独占
4
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なぜWeb1.0の起業家達がWeb3.0に熱狂しているのか?
Source: Pantera Capital
Web3.0による「価値の分散化」は、インターネットの初期のプロトコル設計において⽬指して実現できなかった
もの。Web3.0はWeb2.0による「価値の中央集権化」から本来のWebの形を取り戻す動きとも捉えられている。
5
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Crypto・ブロックチェーンとは?
Hacking free
⾼い改ざん耐性
Non stop
24時間365⽇稼働し、ダウンし
ないサービス
Permissionless
参加に許可のいらないネット
ワーク
Data Ownership
データを第三者に預けることな
く⾃らの⼿でコントロール
Traceability
ネットワークの過去の履歴を誰
もが確認可能
24/7
Source: 経済産業省「ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査」
ビットコインから始まったブロックチェーン技術は⾮中央集権 (分散) 性と⾼いセキュリティを両⽴。Web2.0の
課題を解決する技術として様々なCryptoアプリケーションが開発され2020年頃から急成⻑している。
6
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Trustlessな世界。「Donʼt trust. Verify.」
Blockchain Business Summit ~Beyond PoC「今さら聞けない!? Blockchain基礎講座 powered by Layer X」を元に編集 7
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スマートコントラクトとは?
誰でも検証可能で⾃動執⾏されるプログラム「スマートコントラクト」が利⽤できるようになったことで、ブ
ロックチェーンは様々な産業で活⽤されるようになった。プログラムが信⽤を代替するTrustlessな世界を実現。
信⽤の⾰命
検証可能性
⾃動執⾏
改ざん耐性
分解して検証できない プログラムは⾮公開 実⾏プログラムを検証可能
⾃動販売機へ細⼯ 運営サイドは改ざん可能 ⼀度デプロイすると変更不可
⾃動販売機 ⼀般的なECサイト スマートコントラクト
データ所有・アクセスの違い
Web1.0で各サービス毎だったデータ所有・アクセスがWeb2.0ではシングルサインオンにより⼀部の巨⼤サービス
に集約された。Web3.0では⾃⾝のデータを保存するWalletを繋げることでID/Password不要の認証が利⽤される。
Source: Twitter 8
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Protocol
Ancillary
Service
ブロックチェーン
Web3.0 Stack
Web3.0をレイヤー毎に分類。トークンとオープンソースの特徴からProtocolにも価値が集積 (Fat Protocol) し、各
レイヤーにおいて単⼀のプレイヤーの独占は困難となるのがWeb2.0との違い。
9
サービス分類 例 プロダクト例
トークン取引所、
NFTマーケット
プレイス
ステーブルコイン、
DeFi、 NFTゲーム、
Web3 SNS
ウォレット、ID、
認証、セキュリティ、
開発ツール、ストレージ
NFT Lending、
NFT発⾏・
運営API、
NFT運⽤
サービス、
Web3マーケ
ティング、
DAO管理、
分析
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Infrastructure
Application
(incl. Primary Distribution)
Secondary Market
1. Web3.0とは
• 概要
• ブロックチェーン
• スマートコントラクト
• データ所有・アクセス
• Web3.0 Stack
2. 市場環境
• 概況・市場規模
• NFT・DeFi・DAO
• 最近のビジネスモデル
3. Web3.0の特徴・従来のビジネスとの違い
• トークンエコノミー
• カルチャー
• 競争優位性
• サービス構築
• 投資
市場概況
ブロックチェーンの活⽤分野(*) DeFi (Decentralized Finance) NFT (Non Fungible Token)
• DEXから始まり拡⼤
• ⾦利の発明 ⾮中央集権型⾦融
• Yield Farming, Liquidity Miningの⾰命
• 時価総額: $159bil / 総ロック額:
$240bil (2021年10⽉末)
• デジタルアセットの所有権証明に利⽤
• 2021年にブーム、2次流通も拡⼤
• CollectableからUtilityへ
• 時価総額: $52bil (2021年10⽉末) /
取引総額: $10.7bil (2021Q3)
ビットコイン価格
2017 2018 2019 2020 2021
• ブロックチェーンビジ
ネス開発ブーム
• DeFiブーム • NFTブーム
• STO開発、IEOが活発化
• ICOバブル
スマートコントラクトを利⽤できるイーサリアムの実⽤化により2017年頃からブロックチェーンは様々な分野で
活⽤が進んだ。2020年に⼊りDeFi、2021年初からはNFTが市場拡⼤を牽引している。
* Source: ConsenSys
DEX ステーブルコイン
レンディング 資産運⽤最適化
1.0 2.0
3.0
11
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• 2021年11⽉に合計時価総額は$174bil (20兆
円) を記録
(⽐較: 国内のメガ三⾏の時価総額合計: 約18兆円)
• 2021年は年間を通して+650%の成⻑
• 2021年の上位10取引所の合計取引額: $24bil
(2.7兆円)
(⽐較: 国内のデジタル系B2C EC市場: 約2.5兆円)
• ⽉間取引額は+5,438% (2021年12⽉vs1⽉)
市場規模
2021年のNFT市場の急拡⼤によりブロックチェーンをベースにしたWeb3.0プロダクトが世界中で急増し国内でも
活発化。グローバルの市場規模は既に⽇本の経済規模と⽐肩する。
12
暗号資産
• 上位30銘柄の時価総額合計は2021年11⽉に
過去最⾼の$2.5tri (290兆円) を記録
(⽐較: 国内株式市場上位30銘柄: 約250兆円)
• 2021年は年間を通して+176%の成⻑
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DeFi NFT
暗号資産時価総額 290兆円
国内株式市場
250兆円
DeFi時価総額 20兆円
国内メガ三⾏合計
18兆円
NFT取引額 2.7兆円
国内デジタル系
B2C EC市場
2.5兆円
DeFi (Decentralized Finance)
DEX、レンディング、ステーブルコインを⽪切りに既存⾦融のサービスがCrypto上でも開発され、2020年に急拡
⼤。パブリックブロックチェーンにおいてビットコイン以来の⼤きな需要が創出された。
Case study 1 Case study 2
• 分散型レンディングサービスの先がけ
• Yield FarmingとLiquidity Miningの導⼊により急成⻑
• ガバナンストークンCOMP時価総額: $2.0bil (2021年10⽉末)
• 総ロック額: $18.3bil / 総借⼊額: $7.5bil (2021年10⽉)
• 最⼤の分散型取引所(DEX)
• 流動性プールを採⽤することでDEXに⾦利の概念を導⼊
• ガバナンストークンUNI時価総額: $15.2bil (2021年10⽉末)
• 総ロック額: $3.6bil / 取引総額: $44.1bil (2021年10⽉)
貸し⼿ 借り⼿
流動性提供者 トレーダー
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NFT (Non-fungible Token)
1.0 (2017-2018年) 2.0 (2020年末〜2021年初め) 3.0 (2021年3Q〜現在)
• コミュニティの参加権として使えたり、
様々なメタバースで横断的に利⽤でき
るデジタルアイテムとして活⽤
• ゲームをしながら報酬を得られる
Play-to-earnゲームが急成⻑
2017年に開発されたNFTはデジタルアセットの所有権証明に活⽤できることからメディア・エンターテインメン
ト領域を中⼼に活⽤。数度のブームを経て、コミュニティでの利⽤やゲーム・メタバース領域に拡⼤。
• 暗号通貨価格の上昇や著名⼈がSNSな
どで発信することでブームに
• アート領域などのコレクタブル(収集
物)で拡⼤
• ⼀般規格(ERC721)が整備されたこ
とで、誰もが簡単に利⽤可能に
• ゲームアイテムが2次流通可能になる
ことからゲーム領域で活⽤が始まる
• 猫のブリーディングゲーム
• 2017年頃10百万円以上の取
引で話題に
• 対戦型RPG
• 2018年頃、DAU/取引量/取
引額で世界⼀のBCゲーム
• NBAと提携した名プレイの
デジタルアセット
• NFTの認知拡⼤に貢献
• BeepleのNFTアート
• Christieʻsのオークションで
$69.3milで落札
• 1万体限定のNFTアバター
• コミュニティに貢献した⼈
がベネフィットを享受
• Play-to-earn NFTゲーム
• コロナ禍で発展途上国で⽣
活を⽀えるサービスに
$23.9 bil
取引総額 (2021年)
$52 bil
時価総額合計 (Oct2021)
固有のIDを持つトークン技術。トークンと紐つけた資産の保有
者・取引履歴がブロックチェーン上に記録される。
NFT
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DAO (Decentralized Autonomous Organization)
ブロックチェーンとスマートコントラクトにより実現しつつある特定の管理者や主体を持たない⾃律分散型組織。
プログラムにより⾃動運営され必要な時のみ構成員で合意形成する新たなガバナンスの形として注⽬されている。
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概要 Case study
• 2020年12⽉にローンチしたEthereum上の分散型ブログ
• 出版物をNFT化、クラウドファンディングも可能、データ
は分散ストレージ上に保存
• トークンホルダーの投票で仕様やコミュニティ⽅針を決定
• 2021年1QにUSV、a16zらから$10mil調達
• 透明性の⾼い検証可能なプログラムでルール化された組織
• ガバナンストークンが意思決定が必要な際の議決権や組織
への貢献に対する報酬の役割を果たす
• 共通⽬的を持つオープンなコミュニティやプロジェクトで
活⽤
Source: HashHub Research, Aragon
Web3.0の最近のビジネスモデル
NFT売買マーケットプレイスやトークンを活⽤したものを除くと、Web3.0のビジネスモデルの多様性は⼩さくマ
ネタイズ⼿法も確⽴されたものは少ない。世界中で⽇々様々なプロダクトが⽣み出されては消えている状況。
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NFT x DeFi NFT aggregator Community management tool
Gateway, Notification Builder NFT rental
• NFT保有者・クリエイター・IPホルダーと
NFTを借りたい⼈を繋ぐプロダクト
• NFTが利⽤できるゲームやメタバース空間
でニーズが顕在化
• NFTはコミュニティやイベントの参加権と
しても活⽤されており、今後、Web3型シェ
アリングエコノミーへの活⽤も期待
• 企業やブランド、IPホルダー向けにWeb3領
域に参画するためのコンサルティングや開
発API・ホワイトレーベル等のサービス
• 昨年からのブームの影響で企業向けのNFT
発⾏・運営のためのサービスが急増
• 発⾏だけでなく、コミュニティを盛り上げ
るといった保有者への継続的な関与までカ
バーするサービスが求められる
• NFTを活⽤したコミュニティ運営やマーケ
ティングのプロダクト
• Discordなどのコミュニティーツールにおい
て特定のNFT保有者だけ参加できるチャネ
ルを設定するプロダクトや特定のNFTを
持っている⼈に通知を送るプロダクト等、
様々なものが増加中
• Web3型のプロダクト向けのコミュニティ管
理サービス
• Web3は完全オープンソースの世界で、
Web2型の囲い込み戦略が機能しないため、
いかにコミュニティを構築できるかが競争
優位性
• 現時点では財務管理、投票、トークン配布
などのプロダクトが代表格
• NFTコレクションやマーケットプレイスの
売買情報、利⽤されているブロックチェー
��等の各種データを集約し提供するプロダ
クト
• NFTを活⽤したプロダクトが急増する中で
ニーズが⾼まり、海外のスタートアップで
⼤型調達が⾒られる
• NFTとDeFiを組み合わせたプロダクト
• NFTを担保に暗号資産を借りるNFT lending
は複数のサービスが⽴ち上がっている
• NFTを持っていることでトークンが獲得で
きるNFT staking、NFTをマーケットプレイ
ス上で売買することでトークンを得られる
Trade mining等、新しい概念が続々と
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1. Web3.0とは
• 概要
• ブロックチェーン
• スマートコントラクト
• データ所有・アクセス
• Web3.0 Stack
2. 市場環境
• 概況・市場規模
• NFT・DeFi・DAO
• 最近のビジネスモデル
3. Web3.0の特徴・従来のビジネスとの違い
• トークンエコノミー
• カルチャー
• 競争優位性
• サービス構築
• 投資
Web3.0の特徴 ‒ トークンエコノミー
トークンの発⾏により所有者にコミュニティ貢献の動機付けをしプロダクトを成⻑させる。グローバルで24/7動く
マーケットにより流動性を確保。トークン価格��維持は⾦融政策そのものであり⺠主的なアプローチが好まれる。
Source: Lauren Stephanian Mirror, STEPN
• トークンのアロケーションや配布スケジュールがあらか
じめ⽰されマーケットの需給により価格が変動
• トークン共有/償却をプログラムで⾃動で⾏うのが本来の
形(Bitcoinなど)
• 多くのプロダクトではトークン共有/償却を初期は運営が
判断し、トークンホルダーの意思決定に移⾏
• ユーザーの定常的な拡⼤とインフレ/デフレに留意した
トークン供給量のコントロールは国家の⾦融政策に類似
• アプリケーションの種類によって最適なトークンアロ
ケーションや供給スケジュールは異なり専⾨家や経済学
者が研究
仕組み
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Web3.0の特徴 ‒ カルチャー
個⼈もプロジェクトもTwitter上で絶え間なく情報収集・発信を⾏い、独⾃のカルチャーを醸成。ブロックチェーン
の特徴からボーダーを⾶び越えた取引、事業展開が可能で情報を正確に早く取得し分析することが肝要。
Source: ⾃⺠党デジタル社会推進本部 NFT PT座⻑ 平議員Twitter, darkstar Twitter & Mirror
• Twitter上でのコミュニケーション。gm、LFG、WAGMI。
ボーダーレスな世界
• 24/7の情報収集・発信。怪しいプロジェクト、コンサル
多数。DYOR
• 働くという感覚よりも興味があるものに参加して貢献に
従って報酬をもらう
• Pseudonymous (偽名) ⽂化。世間⼀般の信⽤よりもSNS
上のステータス・繋がり、発信物、ウォレットの中⾝
(保有するFT・NFT)が信⽤⼒に
特徴
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従来のビジネスとの違い ‒ 競争優位性
トークンとオープンソースの特徴からWeb2.0とは違った価値の分配が起こり、競争の源泉も異なる。Web3.0では
各領域での独占は難しく、Liquidity、Community、Composabilityがmoatとなる。
Source: Union Square Ventures, THE BLOCK, David Phelps Twitter
• Fat Protocol: Applicationに価値が集約するWeb2.0とは
異なりプロトコルレイヤーが⼤きな価値を享受
• ⼤⼿プロダクトのコードをコピーしてマーケットインす
るVampire Attackが発⽣
特徴
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従来のビジネスとの違い ‒ サービス構築
ボーダーレスなビジネス構築が⽐較的容易で、世界中の才能が凌ぎを削ってプロダクトを開発。移り変わりの激し
いマーケット環境の中、Day1からグローバルで事業展開できる体制構築が必要。
Picture source: a16z How to win the future, Astar Network, Azuki Discord
特徴
• 未だ極めて黎明期。マーケットの移り変わりが早くプロ
ダクトの盛衰が激しい
• 確⽴されたビジネスモデルが少ない。マネタイズ⽅法が
不安定なもの多数
• オンラインで繋がりながらDay1から国籍・地理的に多様
性の⾼いチームでグローバルなプロダクトを展開
• Twitterで情報発信。Telegram、Discordでコミュニティ
運営
• ブロックチェーン毎に開発環境が異なる。期待値の⾼い
新しいチェーンに⼈もお⾦も移動
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従来のビジネスとの違い ‒ 投資
Web3.0の特徴であるトークンへの投資では投資戦略が株式投資と異なる。Web3.0では投資と事業構築の境界線が
曖昧になり、組織に求められる専⾨性・スキルセットも広範囲に及ぶ。
Source: Paradigm, あたらしい経済
• 株式だけでなくSAFT等、トークンを活⽤した資⾦調達
が主流
• トークンへの投資はDAOへの貢献やノード運⽤等、求め
られる投資先への関与度が⾼い
• Top TierのVCはリサーチャーを雇⽤しプロダクトをリ
リース。また、プロダクト側は調達した資⾦を運⽤
• IPO/M&A前の早期の流動性
• 企業価値は調達毎ではなくリアルタイム
• 課税イベントなしの運⽤
• 創業者/チームの割り当て少なめ
• 希薄化なし⼜は透明性のある希薄化
株式との違い
仕組み
プライベート
セール
SAFT
パブリック
セール
ICO/IDO/IEO
SAFE/KISS 株式調達 IPO/M&A
株式
トークン
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参考資料
Web3.0の国内エコシステム構築の取り組み
⼤⼿町駅直結のMIRAI LAB PALETTEにWeb3.0のスタートアップ、クリエイター、インフルエンサー、メディア、
企業が集積。VC/CVCも集まり投資を得られる仕組みも構築されつつある。
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構築のイメージ
Talents
• Web3に関連するス
タートアップ・クリエ
イター・インフルエン
サー・メディア・企業
が多数集結
Capital
• MIRAI LAB PALETTEを運営
する企業のCVCのWeb3ソー
シング担当も常駐
• Web3に投資をする国内VCも
多数登録
Place
• ⼤⼿町駅直結のオープンイ
ノベーションラボMIRAI
LAB PALETTE
• Fintech企業の集積地 ⼤⼿町
ビルにもWeb3企業が増加中
Block 71
• シンガポール政府が主導するスタート
アップエコシステム
• スタートアップやVC向けにビルを⽤意
し格安でオフィスを提供
• 2016年時点で260のスタートアップ、
25のVC/Acceleratorが⼊居
• 政府のスタートアップ投資部⾨のス
タッフがコワーキングスペースに常駐
し投資の相談受けや⼊居企業の連携を
促す
PALETTEご利⽤のプロジェクト例
PALETTE NFT部
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⾮中央集権 参加に許可の
いらないネットワーク
透明性が⾼い
分散台帳
Unbanked
へのリーチ
コストメリット プライバシー
侵害なし
ブロックチェーンの仕組み
Web3.0の世界
ダウンしない
サービス
トレーサビリティ
⾼い改ざん耐性
データを⾃ら
コントロール
24/7
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Web3.0の特徴
公開鍵暗号
ハッシュ関数
P2Pネットワーク
⾮中央集権
参加に許可のいらない
ネットワーク
透明性が⾼くハッキ
ングに強いサービス
Unbanked
20億⼈
破綻リスク・
⾼い⼿数料
プライバシー侵害・セ
キュリティ
ブロックチェーン Bitcoinの特徴 既存⾦融の問題点
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Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Bitcoinの特徴
27
Source: 経済産業省「ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査」 Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
ブロックチェーンの仕組み
国家による統制・国⺠の監視
1993年 クリッパーチップ問題
アメリカの国家安全保障局(NSA)がクリッパー
チップを発表。クリッパーチップはコンピュー
タのチップに組み込まれ⾳声やメッセージを暗
号化しバックドアを通じて国家が傍受できる仕
組み。サイファーパンク(暗号技術を使って政
府のプライバシー監視に抵抗する⼈々)から猛
反発を受けた。
2013年 スノーデンの告発
アメリカや全世界に対するNSAによる盗聴の実
態と⼿⼝を内部告発。合衆国内で30億件/⽉、
全世界で970億件/⽉のインターネットと電話回
線の傍受が⾏なわれ、Verizon、Microsoft、
Google Facebookなどの⼤⼿通信事業者・
Tech企業の協⼒が明らかになった。
2018年 カショギ⽒殺害
サウジアラビア⼈のジャマル・カショギ⽒がサ
ウジアラビア⼤使館内で殺害された。イスラエ
ル企業が開発したスマートフォンを標的にした
スパイウェア「ペガサス」により監視されてい
たと報じられた。
プライバシーの問題
政府による統制のための国⺠の監視とそれを実現するためのテクノロジーの悪⽤。企業による個⼈情報の本来の
⽬的に反した利⽤や情報流出が社会問題化。
企業による情報の濫⽤・情報流出
2016年 ケンブリッジアナリティカ問題
Brexitでの勝者側の選挙コンサルティング
会社であったケンブリッジアナリティカが
アメリカ⼤統領選挙において、Facebookで
利⽤できる性格診断アプリにより27万⼈の
利⽤者およびその友達を含めた8,700万⼈に
及ぶ個⼈情報を⼊⼿。利⽤者の属性・嗜好
に応じたフェイクニュースを含む選挙広告
により、トランプ陣営の勝利に貢献したと
報じられた。
2018年下半期 個⼈情報漏洩 抜粋
• 9⽉、Facebookが約5,000万⼈の個⼈情報
を漏洩
• 10⽉、Googleが約50万⼈の個⼈情報漏洩
の可能性を発表。(3⽉には判明)
• 12⽉、240万⼈のマイナンバーが無許可
の再委託により漏洩
• その他国内だけでも毎⽉数⼗件の企業に
よる情報漏洩が発⽣(詳細P21)
28
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⼤⼿プラットフォームのコンテンツに関する規約
Source: Mark Beylin Mirror 29
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30
Web3.0 国内カオスマップ
海外に遅れを取っていたが、2021年後半から国内市場も加速。ApplicationやSecondary Marketは多くのプレイ
ヤーが参⼊している⼀⽅で、 ProtocolやInfrastructureのレイヤーは少ない印象。様々な付随サービスも増加。
* ⽇本発海外事業者、海外発⽇本拠点を持つ事業者含む
Protocol
Infrastructure
Application
Secondary Market Ancillary Service
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Web3.0 Chaos map (by Coin98Analytics)
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32
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
DAOの分類 (by DAO Central)
Web3.0 Stack (by Coinbase Blog)
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Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
DeFiロック額 (by CryptoRank)
34
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
NFTマーケットプレイス⽐較 (by BLOCKDATA)
35
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Cryptoのハイプサイクル (by Gartner)
36
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Web3.0への投資額 (by Pitchbook on New York Times)
37
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Traditional VCのCrypto投資
38
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Source: crunchbase news
2021年の主な動き
• 2021年上半期のVCからCryptoへの資
⾦流⼊は$17bil
• 2021年6⽉、a16zが$2.2bilの
「Crypto Fund III」を組成
• Accel Partners、Lightspeed Venture
Partnersもファンド組成準備中
• Sequoia Capitalは2021年に10件以上
Crypto関連に投資済(内5件は未発表)
で投資全体の4分の1を占める
• 国内ではgumiが$100milのgumi
「Cryptos Capital Fund II」を2021年
9⽉に決議
Web3.0へ投資する主なVCのユニコーンのポートフォリオ (by The Block)
39
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Web3.0の分野毎のユニコーン (by The Block)
40
Copyright © iscream, Inc. All rights reserved.
Coinbase Venturesのポートフォリオ分類 (by Coinbase Blog)
41
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42
Web3.0 国内の規制の課題
税制の影響から有望なスタートアップの国外移転が相次ぎ、LPS法の制限によりVCからの資⾦流⼊も限定的。
2022年に⼊り⾃⺠党にて制度改⾰とWeb3.0を成⻑戦略の柱にする検討が本格化。
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⾃⺠党内の動き
• 本年1⽉に⾃⺠党のデジタル社会推進本
部にNFT制作検討PTが発⾜。平議員が
特別担当として座⻑に就任。
• 同本部では初代デジタル⼤⾂の平井議
員と平議員が旗振りをしてブロック
チェーン・NFTなどを議論。
• 3⽉末にはNFTホワイトペーパーが取り
まとめられ各種制度改正も含め提⾔。
• GW明けに取りまとめられる党の成⻑戦
略、及び、その後の政府の成⻑戦略・
⾻太⽅針に⼊るかが焦点。
• 動きの発端は規制の課題から有望なス
タートアップが国外移転している課題
がありスタートアップからも積極的に
ヒアリング。
[参考]
2/16 ⾃⺠党、政調・デジタル社会推進本
部・NFT政策検討PT合同会議
元MIT Meida Lab所⻑ 伊藤穰⼀⽒の講演
「WeB3.0とNFTについて」
国内の規制の課題
法⼈所有トークンの期末時価評価益課税
• 法⼈がトークンを保有している場合、期末で評価損益を計上する必要がああり、⾃社発⾏トークン
も対象。
カストディ規制
• 他⼈の暗号資産を預かるor代わりに管理する場合は暗号資産交換業のライセンスが必要で、秘密鍵
を預かる場合はNFTも対象。
LPS法
• LPS法における投資対象に暗号資産が含まれていないため独⽴系VCなどはトークン投資できない。
またLPである⾦融機関は間接的にもトークンを保有することができない。
その他
• トークン発⾏による調達は上場の際に⼤⼿監査法⼈より監査してもらえないリスクがあり、Exitの
道が限られる。
⼀般社団法⼈DeFi協会「Web3.0の成⻑戦略に関する提⾔」を参考に作成
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Crypto規制の動き
⽇本 中国
⽶国
2021年9⽉時点での⽶国議会の暗号通貨規制の議論の⽅向性としては
「暗号通貨を監視と管理下に置き、デジタルアセットを⾦融規制構造に
組み込む」意向が⾒られる。
• BTCとETHは、コモディティとして規制
• これ以外の暗号資産やICOは証券として規制
• 未承認ステーブルコインは使⽤禁⽌
• ミキシングや「PrivacyCoin」使⽤は懲役刑の対象
• セトルまで24時間以上のスマートコントラクトは先物の扱い
• FRBにデジタルUSD(全取引が記録)の発⾏を許可
Source: Business Lawyers, THE DECENTRALIZED LEGAL SYSTEM、他
• 中国⼈⺠銀⾏(中央銀⾏)は2021年9⽉24⽇に、仮想通貨(暗号資
産)の関連事業を全⾯禁⽌すると発表した。
• 既に国内での仮想通貨(暗号資産)取引所を閉鎖させ、国内での取引
を禁じていたが、今回の措置で、中国国外の取引所の中国に住む⼈へ
のサービス提供も禁⽌した。
• 中国政府による仮想通貨(暗号資産)への規制強化は2018年から始
まり、今年5⽉には⾦融機関に対して仮想通貨の関連業務を禁⽌。
• 「共同富裕」の理念のもとに進められている企業への統制強化、恒⼤
の経営危機問題を受けた⾦融の安定確保、2022年予定のデジタル⼈
⺠元発⾏に向けた整備といった側⾯もあると⾒られている。
暗号資産の法的扱い
• トークンの販売に当たっては「暗号資産」に該当する場合、「暗号資
産交換業者」の登録をする必要がある。
• 暗号資産に該当しない場合でも「前払式⽀払⼿段」の場合は供託義務
があり、事業者登録が必要。
• 個⼈の暗号資産によるキャピタルゲインは雑所得に分類され総合課税
の対象。繰越控除は不可。
• 事業者は保有している暗号資産に関し期末時点で時価評価し、納税す
る必要がある。
NFTの法的扱い
• NFTを包括的に規制す
る法令は存在せず、
個々のNFTを個別具体
的に検討し、資⾦決済
法上の暗号資産、前払
式⽀払⼿段、その他の
法律に該当するか等を
判断する必要がある。
• 有体物ではないため⺠
法上・著作権法上は所
有権が発⽣しない。
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NFTのクリエイター・IP活⽤・メタバースの事例
2021年に⼊り海外で⾼額取引される事例が増加。国内でも下期より急激にプロジェクトが増え活況を呈している。
NFT/Metaverseにおいてはナラティブを作りコミュニティを盛り上げることが最重要。
クリエイター事例
• Beeple - Christieʻsで$69.3milで落札
• BAYC - NFTアバター$1milを超える取引多数
• RTFKT - NFTのデジタルアパレル、昨年末Nikeが買収
IP活⽤事例
• NBA Top Shot - Dapper LabsによるNBAのNFT
• Adidas - メタバース参加権や実物アパレルと紐つけたNFT
メタバース
• Sandbox - ⾹港のAnimoca BrandsによるNFTメタバース
• Decentraland - ⽼舗のNFTメタバース
• Meta ‒ 旧Facebookが社名変更
クリエイター事例
• せきぐちあいみ - VRアーティスト、NFT作品が13百万円で落札
• ZombieZoo - 9歳のNFT作家、海外から注⽬され作品が数百万円に
IP活⽤事例
• パリーグExciting Moments - メルカリによるスポーツNFT
• 鉄腕アトム - NFTは国内最⾼額56百万円
メタバース
• Metaani - 3DNFTプロジェクトとして熱量の⾼いコミュニティを形成
• Reality - GREEによるメタバース事業
いかにナラティブを作りコミュニティを盛り上げるか、所有欲を喚起する強⼒なIP・アート以外は機能性 (Utility) が鍵に
海外 国内
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Game Metaverseの予測
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Source: DELPHI DIGITAL

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