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OpenStackの概要
と最近の動向
2016/9/7
水野伸太郎
1
自己紹介
 水野伸太郎
 通信会社勤務
– クラウド・SDN技術の研究・開発(2011~)
– それ以前はセキュリティ系業務に従事
 OpenStack関連足跡
– https://www.openstack.org/summit/tokyo-
2015/videos/presentation/ntts-journey-with-openstack
– http://superuser.openstack.org/articles/sitting-down-with-
ntt-group-the-superuser-awards-winner-at-the-openstack-
summit-tokyo
– http://superuser.openstack.org/articles/okinawa-openstack-
ops-workshop-rides-wave-of-interest
 日本OpenStackユーザ会
– 会長(2016~)
2
本日の内容
ユーザー会の紹介
OpenStackの概要
OpenStackの動向
Austinサミットの紹介
3
ユーザ会の紹介
4
日本OpenStackユーザ会
 国内のOpenStackの普及活動・人材育成を目的に2010年に発足
– 運営団体数 26、会員数 約1,692名(2016/9/6時点)
5
運営団体
6
 アセアン・ラボ株式会社
 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)
 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
 NTTソフトウェア株式会社
 株式会社NTTデータ
 NTTデータ先端技術株式会社
 沖縄科学技術大学院大学
 仮想化インフラストラクチャ・オペレーターズグループ
 Canonical
 一般社団法人クラウド利用促進機構
 クラウディアン株式会社
 クリエーションライン株式会社
 GMOインターネット株式会社
 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所
 デル株式会社
 日本電気株式会社(NEC)
 日本電信電話株式会社(NTT)
 株式会社日立製作所
 日本ヒューレット・パッカード株式会社
 ビットアイル・エクイニクス株式会社
 富士通株式会社
 ミドクラジャパン株式会社
 ミランティス・ジャパン合同会社
 レッドハット株式会社
 KDDI株式会社
 LPI-Japan
ユーザー会メンバー数の推移(2016/9/6現在)
7
毎月メンバーが増えていま��!
活動内容
主な活動
– メーリングリストでの情報交換
– イベント開催・出展、勉強会・セミナーの開催
– ハンズオンの実施
– 国際化(マニュアル翻訳、UI日本語化)
 2016年3月:第25回「OpenStack上の仮想マシンHA」 174名
 2016年4月:第26回「OpenStack を動かしてみよう~DevStack編~」 37名
 2016年5月:第27回「OpenStackインストーラ」 220名
 2016年6月:第28回「Heatによるオーケストレーション」 222名
 2016年9月:第29回「OpenStack の品質管理 」207名 9/13予定
 2016年9月:第30回「大阪勉強会」 本日!
 開催情報・参加申し込みは http://openstack-jp.connpass.com/
勉強会2016年
ユーザ会に参加してみよう!
10
OpenStackの概要
11
OpenStackを例えると
12
自作パソコン
・最新のパーツで
・好きな構成で
・希望の予算で
・自分だけのオリジナル
市販品に満足できない人向け
OpenStackに対する心配も同じ
 どの部品を選べばいいの?
 どうやって組み立てるの?
 ドキュメントとかある?
 自分の技術力が不安…
 色々選んだら結局高くなった!
 組み立てたけど動かない…
 故障したらどうすれば?
 「代わりに組み立ててあげます」「保障します」 BTO会社=SIer
 「安心の出来合い製品」 メーカー製品=AWS, vmware
13
概要
 クラウド基盤を構築するオープンソースソフトウェア開発プロジェクト
– 2010年6月、米Rackspace社が立ち上げ
– 全世界で130カ国、12,200名以上の開発者が参加
14
(出典)http://www.openstack.org/software/
コンピュート ネットワーク ストレージ
Webユーザインタフェース
API
ユーザアプリケーション
汎用ハードウェア
共通サービス
OpenStackの特徴
オープンであること、幅広いエコシステム
 ソースコード、開発プロセスをすべて公開、誰でも参加可能
 共通のインタフェースで多くの製品群から希望の組合せで利用可能
15
オープンで安定したコミュニティ
 誰でもコミュニティ参加が可能(コードコミット、コードレビューなど)
 世界各国150社の公式スポンサーによる強固な運営基盤
 Foundationによるオープンなガバナンスモデルによる中立性の維持
 半年に一度のリリース、サミットや中間会合でのオープンな方針議論
16
業種 主要スポンサー企業
ITベンダ・ソフトウェアベンダ IBM, HP Enterprise, Intel, Red Hat, Suse, Canonical,
EMC, Symantec, Oracle, SAP, VMware
通信機器ベンダ Cisco, Juniper, Ericsson, Huawei, Nokia
サービスプロバイダ AT&T, Orange, Comcast, Yahoo!, Paypal
国内からの主要参加企業 NTTコミュニケーションズ, NEC, 日立, 富士通, CTC
オープンなアーキテクチャ
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仮想サーバ
コントローラ
(Nova)
仮想NW
コントローラ
(Neutron)
仮想ストレージ
コントローラ
(Cinder)
認証/ユーザ管理
(Keystone)
ユーザアプリケーション
OpenStack API
OpenStackコントローラ
ドライバ
(OSS/製品)
ドライバ
(OSS/製品)
ドライバ
(OSS/製品)
実行層
管理層
サーバ
仮想化機能
汎用サーバ
仮想
サーバ
仮想
サーバ
ストレージ
仮想化機能
汎用サーバ/
ストレージ製品
ネットワーク
仮想化機能
汎用サーバ/
NW製品
仮想
ルータ
仮想
FW
API/独自インタフェース
(検証された組み合わせを提供)
※簡略化のため主要機能の概略のみ記載
仮想ストレージ
WebUI
(Horizon)
実行層のエコシステム
アプリ層のエコシステム
エコシステム構築への注力:Marketplace
http://www.openstack.org/marketplace/
18
OpenStackの主要機能
19
プロジェクト 機能 AWSとの対応
Horizon Web ユーザインタフェース Management Console
Keystone 認証サービス -
Nova 仮想マシン管理サービス EC2/VPC
Neutron 仮想ネットワーク管理サービス EC2の一部
Glance 仮想マシンイメージ管理サービス EC2の一部
Cinder ブロックストレージ管理サービス EBS
Swift オブジェクトストレージ管理サービス S3
Ceilometer メータリング・監視サービス CloudWatch
Heat 仮想環境プロビジョニングサービス CloudFormation
Trove RDBMSサービス RDS
Sahara BigData解析アプリ構築 EMR
機能イメージ
20
Nova Glance Cinder SwiftNeutron
仮想ネットワーク制御
ハイパーバイ
ザー制御
イメージ
SnapShot管理
ブロック
ストレージ制御
オブジェクト
ストレージ
Horizon/CLI
VPNaaS
L3
L2/LBaaS
FWaaS
Heat オーケストレーション
Trove DBaaS
Ceilometer 統計情報の収集・アラート発信 Keystone 認証・認可
Sahara DPaaS
Ironic
ベアメタル
プロビジョニング
OpenStack API
OpenStack動向
OpenStackの商用利用動向
商用利用
開発目的
検証目的
2014年前半までは開発・検証目的での利
用が多かったが、2014年後半から大手企
業を中心に商用利用が本格的に進んでいる。
(出典) https://www.openstack.org/assets/survey/April-2016-User-Survey-Report.pdf
Mitakaリリース
 2016年4月7日: 13番目のリリース(アルファベット順で命名)
– 2336名の開発者、293の組織 (Libertyでは1933名・285組織)
 新機能(分かりやすいところでは)
– Dashboard(Horizon)のVM作成までの一連の流れの改善
– OpenStack Clientによる統一されたCLIの提供
23https://www.openstack.org/software/mitaka/
 KiloからBigTentモデルが適用されプロジェクト数が一気に増加
The Big Tent: 新規プロジェクトが続々追加
https://www.openstack.org/videos/video/the-big-tent-one-year-later
BigTent配下の全プロジェクト https://governance.openstack.org/reference/projects/
共通機能(Infra, QA, Securityなど)
個別機能(Nova, Neutronなど)
 IaaS基盤だけではなく、様々な領域のプロジェクトを選択して利用できるようになる。
 Incubationステージなどがなくなり、50を超えるプロジェクトがどのような状態かが明
確でなくなった。
 コミュニティではProject Navigatorを導入し、主要19プロジェクトのMaturityや
Adoptionレベルの「見える化」を実施
– https://www.openstack.org/software/project-navigator/
 その他のプロジェクトの出来具合は自分で判断する必要がある
– 自分のユースケースに合わせて検証を実施して品質確認を行う
– ベンダーのディストリビューションでサポートしているものを利用する
– 他のユーザの利��実績のあるものを利用する
ユーザから見たBig Tentの意味
Project Navigator https://www.openstack.org/software/project-navigator/
実際どのプロジェクトが商用で使われているか?
(出典) https://www.openstack.org/assets/survey/April-2016-User-Survey-Report.pdf
新しいプロジェクトの利用状況
(出典) https://www.openstack.org/assets/survey/April-2016-User-Survey-Report.pdf
導入タイプ
オンプレミスプライベート
ホステッドプライベート
パブリッククラウド
コミュニティ向けクラウド
プライベートクラウドでの導入数
が最も多くなっている
(出典) https://www.openstack.org/assets/survey/April-2016-User-Survey-Report.pdf
導入規模
(出典) https://www.openstack.org/assets/survey/April-2016-User-Survey-Report.pdf
大手企業での導入事例
31
国 業種 規模 用途
国家安全保障局 米国 行政機関 非公開 内部システム
歳入税関庁 英国 行政機関 未公開 税務システム
CERN 欧州 研究機関 15,000物理サーバ 科学計算
PayPal 米国 電子決済 4100物理サーバ 決済システム
Best Buy 米国 小売り 500VM Webサイト
Walmart 米国 小売り 100,000コア
数ペタバイトストレージ
電子商取引システム
Comcast 米国 CATV 不明 配信プラットフォーム
Time Warner Cable 米国 CATV 数千VM, 数百TB storage 配信プラットフォーム
Bloomberg 米国 金融情報 数百物理サーバ 情報配信
Wells Fargo 米国 銀行 500物理サーバ 社内クラウド
BBVA スペイン 銀行 不明 社内クラウド
BMW ドイツ 自動車 12,000VM 基幹システム
最新のユーザ事例(Superuser)
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http://superuser.openstack.org/
業種別レポート(NFV)
33
https://www.openstack.org/telecoms-and-nfv/
業種別レポート(Enterprise)
34
https://www.openstack.org/enterprise/
業種別レポート(アプリ開発)
35
https://www.openstack.org/appdev/
OpenStackサミットの今後(議論中)
Austinサミット紹介
37
Austin Summit
38
https://www.openstack.org/summit/austin-2016/
April 25-29, 2016
Austin
サミット概要
 名称:OpenStack Summit Austin 2016
 日時:2016年4月25日~2016年4月29日
 場所:Austin、テキサス州、米国
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参加者の推移
 参加者:7800名
– 5000名@Tokyo
– 6000名@Vancouver
– 4600名@Paris
 スポンサー:116社
– 86社@Tokyo
– 119社@Vancouver
– 91社@Paris
 参加者の国数:61ヶ国
– 56ヶ国@Tokyo
– 55ヶ国@Vancouver
– 62ヶ国@Paris
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 参加者所属企業数:1190社
– 736社@Tokyo
– 976社@Vancouver
– 876社@Paris
 サミット初回参加者:54%
– 50%@Tokyo
– 54%@Vancouver
– 58%@Paris
Keynote
 Foundation CEO Jonathan Bryce
– “Disruption”
 技術の適用だけではなく文化・プロセスの変革も必要
– “Diversity“
 技術の多様化への適応できるかがIT利活用の鍵となっている
 Public/Private, NFV, 研究・BigDataなどユースケース多様化
 Foundation COO Mark Corllier
– “Collaborate or die”
 OpenStackをどのような上位のOSS、アプリと連携させていくかが重要
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ユーザ事例
 AT&T
– AT&T Integrated Cloud (AIC)
 OpenStackをSDNやNFVの基盤として活用
 EnterpriseとNetwork serviceの両方のWorkload
 OpenStackで74のzoneを構築済、最終的に1000+zoneを目標
 FuelでDeployを自動化(構築はMirantis)
 高度な管理のための独自のOpenStack Resource Manager
 複数のZoneへの統一的な操作
 最適なZoneの選択 など
– AT&Tが、Superuser Award受賞
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ユーザ事例
 SAP
– SAP HANA Cloud Platform in Industry 4.0
– IoTプラットフォーム環境をOpenStack+CloudFoundry+HANA
CloudPlatformで構築 (Siemensの事例を紹介)
43
ユーザ事例
 Volkswagen
– 2015年からITインフラの強化の一環としてOpenStackを導入開始、
2016年に商用利用を開始予定
– PaaSレイヤにはCloudFoundryを利用
– Group IT Cloudとして新データセンタを構築
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ユーザ事例
Time Warner Cable
– General-purpose multi-tenant container runtime
for devs
 Apache Mesos を使い、 2016年1月に4人のエンジニアで作業
を始め, 2016年5月には2リージョンで商用利用開始
 OpenStackがすでに整備されていたので、物理的なプロビジョニン
グで時間がかかることはなかった。今後、Ironicの利用を検討。
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Austin Summit情報リファレンス
 Keynote & Breakout Session
– スケジュール
 https://www.openstack.org/summit/austin-2016/summit-
schedule/
– 講演ビデオ
 https://www.openstack.org/videos/
 各プロジェクトの議論結果まとめ
 http://hugh.blemings.id.au/2016/05/17/openstack-summit-
austin-2016-summary-of-summaries/
 Design Summit etherpad
 https://wiki.openstack.org/wiki/Design_Summit/Newton/Ether
pads
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おすすめ
おすすめ
次回サミットはバルセロナ
47
https://www.openstack.org/summit/barcelona-2016/
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ご清聴ありがとうございました
49

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