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ロボット介護機器設計支援ツール
(独)産業技術総合研究所
知能システム研究部門
ディペンダブルシステム研究グループ長
中坊 嘉宏
02014/3/19
改めて、V字モデル
2014/3/19 1
要件定義
プロトタイプ作成
システム検証
モジュール試験
機構・制御部
安全関連部 システム設計
ハード・ソフト設計
効果安全目標
有用性・安全性に関する機能要求
有用性・安全性に関する性能要求
モジュール化設計
ハード・ソフト試験
妥当性確認
一日の生活の中での課題の明確化
目標となる「活動」の明確化
要素動作の明確化
「している活動」での検証
要素動作での検証
開発コンセプト
・メリット・デメリット
(短期的・長期的)
(被介護者・介護者、
施設全体)
・適応と禁忌
・使い方
工学システム
人との関係
項目と具体的内容
「参加」の具体像としての「活動」
「できる活動」での検証
効果安全目標
V字モデルの要点
2014/3/19 2
確かにでき
ているか?
なんのために
そうするか?
どうやって
実現するか?
やろうとすると、簡単ではない
3
解決策の提案
• モデルベース開発を導入する → SysML
• 全て新規ではなく,再利用する
• コンポーネントの組み合わせで作る
• プラットフォームを活用する
2012/03/19
RTミドル
ウエア
SysMLによるモデリング例
(随時アップデート予定)
移乗介助機器(非装着型)
5
移乗介助機器(非装着型): コンテキスト図(例)
:病院・介護施設
:移乗介助機器(非装着型)
:介護者
:被介護者
:移乗対象
:ベッド
:車いす
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要介護者を移乗させる際、介助
者の力の全部又は一部のパワー
アシストを行うこと。
ロボット技術を用いて介助者によ
る抱え上げ動作のパワーアシス
トを行う非装着型の機器
移乗開始から終了まで、介助者
が一人で使用することができる。
機器据付けのための土台設置工事等の住
宅等への据付け工事を伴わない。 つり下げ式移動用リフトは除く。
ベッドと車いすの間の移
乗に用いることができる。
ibd [Package] SysML-B-2.移乗介助機器(非装着型) [SysML-B-2-C]
:周りの人
:被介護者関係者
:施設職員
:他の入居者
:機器充電場所
:機器保管場所
:廊下
:脱衣所
:椅子
:車
:ストレッチャー
:便器
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6
移乗介助機器(非装着型): ユースケース図(例)
介護者
被介護者
乗り移らせる(d420)
パワーアシストを行う
<<include>>
移乗介助機器(装着型)
uc [Package] SysML-N-2.移乗介助機器(装着型) [SysML-N-2-U]
<<include>>
動作を指示する
スリングを交換される
消毒される
清掃される
排泄支援サービス
排泄(d530)をサポートする
衣服を着ること (d5400)をサポートする
衣服を脱ぐこと (d5401)をサポートする
自宅以外の屋内移動 (d4601)をサポートする
車いすを押す
介護サービス
ベッドを整える
要介護者を移乗させる際、介
助者の力の全部又は一部のパ
ワーアシストを行うこと。
ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作の
パワーアシストを行う非装着型の機器
移乗開始から終了まで、介助者
が一人で使用することができる。
機器据付けのための土台設置
工事等の住宅等への据付け工
事を伴わない。
つり下げ式移動用リフトは除く。
ベッドと車いすの間の移乗
に用いることができる。
7
移乗介助機器(非装着型): アクティビティ図(例)
:介護者 :移乗介助機器(装着型) :被介護者
act [Package] SysML-N-2.移乗介助機器(非装着型) [SysML-N-2-A-1]
機器を介護場所に移動する
ベッドの高さを調整する
[移乗元=ベッド]
[else]
移乗を行う準備をする
移乗元/先が「ベッド」以外の
場合,高さ調整ができない
ため介護者の負担増
自走する
被介護者にスリングを装着する
動作を指示する 抱え上げられて移乗する抱え上げ動作のパワーアシストを行う
移乗介護機器を操作して移乗を行う
被介護者からスリングを外す
8
移乗介助機器(装着型): アクティビティ図2 (例)
:介護者 :移乗介助機器(装着型) :被介護者
適切な姿勢であるか確認する
適切な姿勢に変える
[適切な姿勢ではない]
[else]
適切な姿勢に変わる
他の作業を行う
移乗後の片付けを行う
作業順不定 排泄介助,移動介助(車いすなど),ベッド
の整えなどの介助作業や,手洗いなどの一
般的な作業
ベッドの高さを戻す
[移乗先=ベッド]
[else]
機器を保管場所に移動する
機器を清掃する
[機器が汚れた場合Or定期的]
機器を消毒する
[else]
スリングを交換する
[スリングの交換要] スリングが汚れた場合,破損した場合など
定期的に交換する可能性もあり
9
移乗介助機器(非装着型): 要求図(例)
req [Package] SysML-N--2.移乗介助機器(非装着型) [SysML-N-2-R]
<<requirement>>
リスク低減
<<requirement>>
残留リ��ク対応(No.28)
Id=
Text=“使用者に機器の不具
合を知らせることにより事故
を回避するために,対象機器
に警報や表示をして,危険情
報を伝達できること”
<<requirement>>
試用
Id=
Text=“試用時の移乗
介助は有資格者によ
る指導のもとに実施す
ること”
<<requirement>>
人に対する安全性
Id=
Text=“介護者,被介
護者,周囲の人に危
害を加えないこと”
<<requirement>>
本質的安全化(No.20)
Id=
Text=“機器の形状に鋭
利部,突出部,挟圧部な
どがないこと”
<<requirement>>
デザイン(No.22)
Id=
Text=“機器の色,形状
などの外観,大きさ,質
量,構造が人に対して肉
体的,精神的にストレス
を与えないように配慮さ
れていること”
<<requirement>>
インターフェース(No.23)
Id=
Text=“マン・マシンイン
ターフェースが,人が誤
動作や誤解をしないよう
に配慮すること”
<<requirement>>
姿勢(No.24)
Id=
Text=“保守保全作業を
含め,無理な姿勢での対
象機器操作(人による重
量物の扱い,人の動作を
極端に規制する装置な
ど)がないこと”
<<requirement>>
電気的危険性の防止(No.25)
Id=
Text=“使用者が感電する
ことなく安全に使用できるよ
うに,金属露出部の絶縁性,
対環境性に配慮されている
こと”
<<requirement>>
安定性の確保(No.26)
Id=
Text=“使用者が機器使用
の準備を安全に行えるよう
に,機器脱着に人の動作
に支障を及ぼす(バランス
を損なうなど)ことがないこ
と”
<<requirement>>
停止機能(No.27)
Id=
Text=“使用者が不安に感
じた時に事故を未然に防げ
るように,人が操作する緊
急停止装置を装備している
か,保護停止機能を有して
いること”
<<deriveReqt>> <<deriveReqt>> <<deriveReqt>>
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<<requirement>>
アラーム
Id=
Text=“���介護者を保
持したまま長時間経
過した場合,アラーム
で警告すること”
<<deriveReqt>>
<<requirement>>
停止時の安定性(No.25)
Id=
Text=“使用者が不安に感じ
ないように,停止時に転倒し
ない,又は安定した状態に
移行できること”
<<deriveReqt>>
SysMLによるモデリング
• 要求仕様、機器仕様(上流工程)の明確化が
可能
• 基準コンソで考える、重点課題分野の機器に
ついてのあるべきモデルについて作成中
• お申し出頂ければ、モデルの提供と使用のお
手伝いをします
2014/3/19 10
「I. 実生活での活用」の概念をモデル化
2014/3/19 11
モジュール化による解決
2014/3/19 12
ロボットの低コスト化 多様なニーズ
コストの問題 技術の問題 ニーズの問題
! ! ! !
最新の理論・
アルゴリズム
A社製移動ベース B社製アーム C社製センサ・・・
多様なユーザ
システム開発者
カスタマイズが容易に
RTコンポーネント化
最新技術を利用したい
モジュール化・再利用
仕様
機能によるRTCモジュール分割と連携
(モジュール)情報の隠蔽と公開
音声合成
ンポーネントコ
カメラ
ンポーネントコ
カメラ
ンポーネントコ
画像データ
画像データ ポート
データ・コマンドの流れ
顔位置
合せ問
文字データ
音声データ
人物データ
カメラコントロール
表情データ
文字データ
ジェスチャ
道データ軌
頭・腕駆動
ンポーネントコ
マイク
ンポーネントコ
ステレオビジョン
ンポーネントコ
対話
ンポーネントコ
音声認識
ンポーネントコ
顔認識
ンポーネントコ
ロボット体内のコンポーネントによる構成例
2014/3/19 13
∂
NEDO-RTCs
OSS RTCs etc.
経路計画
話す
動作理解
聴く
作業計画
モータ制御
経路計画
力制御
人発見
人追跡
話す
対話制御
物体認識
ステレオ
視
遠隔操作
自己位置
推定
音声認識ジェス
チャ認識
顔認識
自己位置
推定
地図作成
軌跡追従
障害物回
避
物体認識
ステレオ
視
把持計画
聴く
対話制御
音声認識
地図作成
軌跡追従
障害物回
避
把持計画
作業計画
物体認識
ステレオ
視
把持計画
作業計画
作業知能
自己位
置推定経路計
画
地図作
成
軌跡追従
障害物回
避
移動知能
聴く
話す 対話制御
音声認識
コミュニケーション知能
OpenRTC-aist
選択
選択
選択
作業ロボット例+
+
+
+ 市販ロボット
対話ロボット例
次世代ロボット
研究開発基盤
移動ロボット例
独自技術
新規センサ
独自サービス
新規ハード
ウエア
+ 機能追加、研究開発
知能モジュール
ROBOSSA 出展:経産省 技術戦略マップ 2010
次世代ロボット
応用創出基盤
ロボット高度化教育
プラットフォーム
2013/06/25 14
機能安全に対応したCPUモジュール
2014/3/19 15
CPUボードCPUボード
RTM Safety (セック)
2014/3/19 16
世界初の安全コンセプトをもった
ロボット向けミドルウェア
IEC 61508 SIL3 Capableの認証取得
ISO26262(自動車分野)
ISO13482 (パーソナルケアロボット分野)
にも応用が可能
高い信頼性と安全性が要求される
ロボット開発において、
コストの低減と期間の短縮に貢献
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安全・安心ロガーシステム
現場で安全関連系の解析
開発者へフィードバック
ロボット介護機器の安全系が、開発コンセプトで設計した通りに動作しているかを、フィールドで記録・解析
ロガー 記録
加速度
情報
接触
非接触
センサ
安全関連系の
自動生成コー
ド
モータ
通信部
ハザード解析・
リスクアセスメント
↓
安全目標
↓
機能安全要求
↓
安全メカニズム
安全関連の状態遷移
テンプレート(概念モデル)
安全関連の状態遷移
(網羅モデル)
開発コンセプト システム開発 フィールド検証
リスクを低減する安全関連系の実装+
リスク低減の動作記録メカニズムの埋込み
リスクを低減する
安全関連系の設計
or 通信
ロガープロトタイプ高信頼車両 (機器に装着)
まとめ
• SysMLモデルベースの開発手法を紹介した。
• RTミドルウェアを用いたコンポーネント開発手
法を紹介した。
• RTM SafetyによるCPUモジュールを紹介した。
• 安全関連系用のロガーシステムを紹介した。
182014/3/19
ご清聴ありがとう
ございました
192014/3/19

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