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6,000人のWeb技術者コミュニ
ティを5年間やってみて学んだこ
と
2014/7/28
白石 俊平(@Shumpei)
株式会社オープンウェブ・テクノロジー
自己紹介
• 場作りが大好きなWebエンジニアです。
• html5j
– Web技術者コミュニティ
– 会員数: 6,529人(ML)
– ML, Facebookなどで活動中
– 実績はあとでご紹介
• 読書するエンジニアの会
– 月一回、72回開催している、テーマ駆動型読書会。
– 「読書で知った。世界は、おもしろかった。」
– 池袋ジュンク堂さんとコラボ中!
html5jについて
• 先日、リーダー引退しました。
• コミュニティ活動としては、かなり頑
張っている方だという自負はあります。
はじまりは2009年
2009/8/12 オフ会
2009/11/17 第0回
WebKit/HTML5勉強会
2009/7/10 MLへの初投稿
2009/10/1 HTML5 3Days
HTML5とか勉強会
月一、現在までに49回開催(ちょうど本日やってます)。
毎回、150名定員が3〜5時間で埋まる。
htmlday
HTML5 Conference
2011年 2012年 2013年
2013年度実績:
応募人数/参加人数 2,000名/1,300名
スポンサー数 65
html5j × 地域コミュニティ
部活
テスト部
TV部
自動車部
アクセシビリティ
部
etc...
HTML5 Japan Cup 2014実績
最優秀賞賞金 100万円
賞金総額 350万円
応募作品総数 289作品
スポンサー 61団体
html5jからまなんだこと
コミュニティとは、
どのような組織か?
白石はコミュニティを、
「共通の関心事を持つ人々の集まり」
であると定義している。
コミュニティと関心
• 例
コミュニティ 中心となる関心事
html5j Web技術者の盛り上げ
Linuxコミュニティ Linuxカーネル開発
地域コミュニティ 地域の保全
関心の切り取り方次第で、コミュニティのあり方は大きく変わる
• 多くの人を惹きつける関心事であれば、コミュニティは大きくなる。(逆
に、関心を持つ人が少なければ、コミュニティは小さくなる)
• 同じ事柄についても、関心の側面が異なれば別のコミュニティが形成され
うる
• Linux開発者コミュニティとLinuxユーザコミュニティ
同じく関心を中心とした存在に「メディア」がある。
• メディアとコミュニティの違いは、コミュニケーションの方向性(メディ
アは一方向、コミュニティは全メンバーがメッセージの送受信を行える)
「組織」としてのコミュニティ
• 企業との対比で考えてみる。
コミュニティ 企業
共通の関心事 必須 必須ではない
所属の強制力 弱い(入りやすく
出やすい)
強い(契約関係)
通貨 信頼 金銭
この表はわかりやすさを優先して、相当に単純化した。
メンバーが
「共通の関心事を持つ、信頼できる人たちに囲まれているから、
進んで所属している」
と考える状態が、理想的なコミュニティであると考える。
「命令」も「強制」もNG。
コミュニティリーダーの仕事
• コミュニティリーダーの仕事は、主に以
下の3つ。
– のろしを上げる
– 次なる目標を設定する
– 場作り
コミュニティリーダーの仕事
• ONE PIECEに例えると?
– のろしを上げる
• 「世界一周する」(海賊王になる)というミッ
ションの海賊団を立ち上げ、仲間を募る。
– 次なる目標を設定する
• 次はどの島に行くか?誰をぶっ飛ばすか?を決定
する
– 場作り
• 海賊団の価値観を醸成する
コミュニティリーダーの仕事
• コミュニティリーダーの仕事は、主に以
下の3つ。
– のろしを上げる
– 次なる目標を設定する
– 場作り
のろしを上げる
• ミッションを掲げる
– このコミュニティは何のコミュニティなのか?
– このコミュニティは社会的にどういう意義がある
のか?
– コミュニティの関心事と密接な関係がある。(メ
ンバーの関心に答えるものである)
• 仲間を募る
– リーダーをリーダーたらしめるのは、フォロアー
の存在である。
– 活発な発言をしてくれるメンバーは、強力な仲間
になりうる。
コミュニティリーダーの仕事
• コミュニティリーダーの仕事は、主に以
下の3つ。
– のろしを上げる
– 次なる目標を設定する
– 場作り
次なる目標を設定する
• 適切な目標は、コミュニティにとって最
高の活性剤となる。
• してはいけないこと
– 高すぎる目標
• メンバーの負荷が高まりすぎると、「楽しめる」
領域を超えてしまう
– 早急に結果を求める
• 結果を求める気持ちが先に立ってしまうと、コ
ミュニティメンバーが「結果を出すためのコマ」
に思えてしまう
次なる目標を設定する
• どうすればよいか?
– リーダーは、(例え自分なりの解決策をある程度持っていたとして
も)問題を提示するに留める。問題解決の面白い部分はメンバーに任
せる。
– メンバーの気持ちに最大限配慮して、お願い上手になる。
– ミッションとの一貫性を意識する。
– コミュニティのレベルに合わせて、課題の難易度(具体性)を調節す
る。
• コミュニティのレベル=メンバー間の信頼度
• レベルが高いコミュニティは、難易度の高い(抽象度が高い)課題もこなせる
• コミュニティを、「課題を共に解くチーム」に変える。
– この意識付けが上手くいけば、コミュニティのレベルが上がり(メン
バー間の信頼が強まり)、最高の状態を得られる。
• メンバーが自発的に課題を提示する
• メンバー同士が、相手の発するメッセージをポジティブに捉えるようになり、
メッセージのミスリードが減る。
• 謝罪や感謝の言葉が自然に行き交う場となる。
コミュニティリーダーの仕事
• コミュニティリーダーの仕事は、主に以
下の3つ。
– のろしを上げる
– 次なる目標を設定する
– 場作り
場作り
• 場の価値観を醸成していく。言い換えると
「暗黙のルール」を作っていく
– 例
• どんな些細な発言でもOK!
• 人を傷つけるような発言はNG
• ...
• 運営が「見守っている」という感覚も大事。
安心感に繋がる。
• コミュニティの肝はコミュニケーション。コ
ミュニケーションを円滑にするための場作り
を目指す。
まとめ
• コミュニティとは、「同じ関心事を持つ
人々の集まり」である。
• 「共通の関心事と、信頼できるメン
バー」という安心感が重要。
• コミュニティリーダーの仕事は3つ。
– のろしを上げる
– 次なる目標を設定する
– 場作り

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Editor's Notes

  1. いろいろやってきました。 やることが大きくなるにつれ、何かしら目標のようなものが必要になり、今ではこんな大きなことを言ったりしています。