ウシ、シカ、キリン、イノシシ、カバ、クジラ、イルカ。驚くべきことに、これらはすべて「同じ」である。

 北半球に起源をもつ哺乳類のうち、偶数の蹄(ひづめ)をもつ草食動物で構成された「偶蹄目(ぐうていもく)」と、クジラとその仲間をまとめた「鯨目(げいもく)」。かつては分けられていたふたつのグループは、DNA研究の発展により「鯨偶蹄目(げいぐうていもく)」としてまとめられ、世界中に分布する一大グループとなった。見た目や生息地などが異なる哺乳類たちはいったいなぜ同じグループになるのだろうか。

 その謎の解明に欠かせない「分類と系統」が本展のテーマ。見た目や内部の特徴、DNAなどをもとにグループ分けし、関係性をつなぎ合わせることで浮かび上がってくる哺乳類の不思議に迫る。

 「分類と系統」をより分かりやすくするのが「哺乳類大行進」だ。会場を横断する大きなステージに約200種の哺乳類剥製(はくせい)がズラリ。関係性の近いグループごとに行進する様子を楽しめる。一見似ているけれどまったく異なる「目(もく)」に分類されるものがある一方、冒頭のカバとイルカのように見た目も生態もまったく異なるのに同じ「目」に分類されるものもある。

 見た目だけでは分からない進化の不思議をご堪能あれ。

 ◇3月16日~6月16日、東京・国立科学博物館

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