東京・西新宿のSOMPO美術館で開催中の「生誕100年 山下清展―百年目の大回想」では、山下清の代表的な貼り絵など作品約190点を展示する。放浪の天才画家・山下清は、日本各地の風景を表した貼り絵で知られるが、本展では水彩画やペン画、油彩、陶磁器など多彩な作品を通して、その生涯と画業を紹介する。

 幼い頃から貼り絵を制作した山下は、34歳ごろからペン画にも取り組んだ。やり直しのきかない油性ペンで点と線を描き濃淡をつけ、モノクロの絵の中に奥行きを生んだ。

 ヨーロッパを旅し、帰国後に描いた「パリのエッフェル塔」について、同館の武笠由以子学芸員は「水彩とペンの線描・点描を用いて塔の構造や雲の陰影を印象的に描いている」と話す。完成度の高いペン画に、水彩絵の具で彩色した山下ならではの水彩画だ。

 9月10日[日]まで。

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