ガザの停戦めぐる交渉、議論続く ガザ市全域の避難命令にハマス反発

イスラエル・パレスチナ問題

今泉奏 喜田尚
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 パレスチナ自治区ガザでの停戦や人質解放をめぐる交渉で、イスラエルや米国、エジプトの情報当局トップらが10日、カタールの首都ドーハで協議した。米ネットメディア「アクシオス」が、交渉関係の情報筋の話として報じた。

 アクシオスによると、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は、合意の枠組みについての溝を埋め、詳細な交渉に移ることを望んでいるという。ただ、米ワシントン・ポストは、複数の米政府関係者の話として、枠組み自体は整ってきたが、細部の調整は複雑で時間がかかる、との見立てを伝えている。

 イスラエルの地元メディアなどは11日、イスラエルの代表団がドーハから帰国したと報道。政府は同日夜に閣議を開き、交渉の進展について議論するという。

ハマス幹部、「イスラエルが圧力」

 こうしたなか、イスラエル軍は10日に北部ガザ市で��民に対する避難命令を市内全域に広げるなど、さらなる攻撃の構えを見せる。AFP通信によると、上空から「ガザ市の全市民」を対象とするビラをまき、退避ルートを指示したという。

 こうした動きに、イスラエルとの戦闘を続けるガザのイスラム組織ハマスは反発している。報道によると、ハマス幹部は「(イスラエルは)爆撃や避難の強制、大規模な殺害をより激しくすることで、交渉に圧力をかけようとしている」と主張。「正当な要求をハマスが取り下げることを(イスラエルは)期待している」と語ったという。(今泉奏、喜田尚)

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この記事を書いた人
今泉奏
ヨハネスブルク支局長|サハラ以南アフリカ担当
専門・関心分野
アフリカ、植民地主義、グローバルサウス
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    錦田愛子
    (慶應義塾大学教授=中東政治、難民研究)
    2024年7月12日0時20分 投稿
    【視点】

    開戦後、イスラエル軍はガザ地区での攻撃対象地域を北から南へと移して展開し、徐々に制圧領域を広げていたかに見えた。その攻撃の間、避難先として指示され、最終的な制圧目標地域と位置付けられていたラファに対しても、5月に入り攻撃が開始された。ラファ

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