沖縄で繰り返される米兵事件、垣間見える米軍の意識 山本章子准教授

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聞き手・伊藤和行
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 沖縄で、米兵による性暴行事件が相次いだ。日米両政府は、事件のたびに再発防止策をとるものの、なぜこうも繰り返されるか。在日米軍に詳しい山本章子・琉球大准教授に聞いた。

 ――沖縄で米兵による性暴行事件が6月以降、次々と明らかになりました。

 今回深刻なのは、政府が米側に抗議した後も事件が相次いだことです。少女への不同意性交罪などで米空軍兵が3月に起訴された際、外務事務次官が駐日米大使に綱紀粛正を求めました。しかし5月に米海兵隊による女性への性暴行事件が起き、これらの事件が公になった後の7月4日にも、那覇市内で海兵隊員が女性の胸を触った疑いで逮捕される事件もありました。

 3月以降、米軍が具体的な再発防止策をとった様子はありません。コロナ禍で在日米軍基地で感染が相次いだ時は、外相が直接、米国務長官に米軍人らの外出制限などを求めました。しかし、今回そうした動きは見られない。政府が本気で抗議していないからです。

 ――過去の事件では、米軍も基地外への外出制限や飲酒制限などの対策をとっています。反発を受けなければ、何も対策しないということなのでしょうか。

 ひどい対応です。県警が県に伝えなかったことも問題ですが、結果的に政府が、沖縄に情報を与えず、抗議させない状況をつくってしまいました。6月に県議選があり、米軍の問題が表に出たら政府と対立が続く玉城デニー知事側を利すると考えたのでは、と疑ってしまいます。

最初の事件発生から6カ月も公にされなかった今回、過去の米兵事件とは違う推移をたどっています。日米地位協定などを研究する山本章子・琉球大准教授に、沖縄の米軍が抱える問題と、日本政府の対応について聞きました。

酒がない基地内スーパー 米兵は街へ

 ――実際はどういった対策をとるべきだと考えますか。

 再発防止には、基地内に住む…

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この記事を書いた人
伊藤和行
那覇総局長
専門・関心分野
沖縄、差別、マジョリティー、生きづらさ