「最大限の遊び」「衝撃を届けたい」 少年王者舘は沈まない

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井上秀樹
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 名古屋を拠点にする劇団「少年王者舘」が、代表作「それいゆ」を21年ぶりに上演する。現実と幻想の合間を漂う作風は、人を引きつける磁力を持つ。

 舞台いっぱいに役者が歌い、踊り、言葉遊びが随所に。地球誕生の大爆発から西暦3000年まで、時空はあちこちに飛ぶ。複雑な構造を解き明かすと、戦争について聞く小学生と、満蒙開拓団や南方戦線など様々な記憶が重なる帰還兵が主軸になる。核兵器を思わせる描写も。初演は世紀末の空気感があった1998年だった。

 全劇団員が出る本公演は7年ぶりで、40回目の節目だ。コロナ禍の間に入団した若手は初めてとなる。

 主宰で作・演出の天野天街は肺がんを患って稽古場に来られず、役者でもある演出助手の小林夢二と池田遼が連絡を取りながらつくる。ト書きに動き方が具体的に指定されており、「僕らはプラモデルのパーツをミクロで見てる状態。何をやっているかはお客さんの方がわかってる」と池田。

 観客は読み解く面白さがある…

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この記事を書いた人
井上秀樹
文化部
専門・関心分野
寄席演芸、舞台芸術、大衆芸能