次の衆院選 福島の立憲と共産が共闘見送りへ 都知事選の惨敗受け

岡本進
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 早ければ年内にもある次の衆院選で、福島県内の前回選挙で実現した立憲民主党共産党との野党共闘が見送られる見通しになった。7日に投開票された東京都知事選で、共産の支援を受けた前立憲参院議員の蓮舫氏が惨敗し、共闘の効果が見込めないと判断したためだ。

 立憲は5月の県連大会で、次の衆院選の新4区(いわき市、相馬市、南相馬市など)に党公認候補を擁立する活動内容を決め、2021年の前回選挙での野党共闘から転換する方針を打ち出していた。ただ、新4区の候補はいまだ決まらず、前回と同様に空白区で共産の候補を支え、他区で共産に支援してもらうという共闘の余地が残っていた。

 しかし、都知事選で蓮舫氏は、自民の支援を受けた現職の小池百合子氏に得票がダブルスコア以上離されただけでなく、国政経験のない前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏にも抜かれた。

 立憲の県連幹部は取材に「衝撃の選挙結果で『反自民』だけでは有権者の支持が得られないことがはっきりした。共産との連携どころではなく、自分たちの政党の立ち位置を明確にしない限り、政権交代など望めない」と述べたうえで「次の衆院選での野党共闘はない」と明言した。

 野党が自民に3勝2敗と勝ち越した前回は、県内5小選挙区(次期選挙は1減)のうち、1~4区は立憲の候補を共産が支援し、新4区と多くの地盤が重なる5区は立憲が立候補予定者を降ろし、共産の候補を逆に支えた。都道府県内の全選挙区が一騎打ちとなり、野党が勝ったのは、福島と佐賀の2県しかなかった。

 共産は次の選挙に向けて昨年5月、立憲の現職がいない新4区のみ候補を発表し、いち早く共闘への秋波を送っていたが、戦略の見直しを迫られそうだ。期待した都知事選で大敗したことを受け、共産の関係者は取材に「石丸氏の躍進は、いまの政治を変えたいという願いの集約なのだろうが、福島での野党共闘の動きが後退しかねない残念な結果に終わった」と話した。

 立憲は新4区で候補擁立を急ぐ。県連幹部によると、政治家以外への擁立交渉をすでに進めているという。(岡本進)

衆院選・小選挙区の予想される顔ぶれ

●新1区 福島市二本松市、伊達市など

 亀岡 偉民(68)自[現]⑤〈元〉復興副大臣

 金子 恵美(59)立現③〈元〉党県代表

●新2区 郡山市須賀川市、田村市など

 根本  匠(73)自現⑨〈元〉厚労相

 玄葉光一郎(60)立現⑩〈元〉外相

●新3区 会津若松市白河市、喜多方市など

 菅家 一郎(69)自[現]④〈元〉会津若松市長

 小熊 慎司(56)立現④党県代表

●新4区 いわき市、相馬市、南相馬市など

 吉野 正芳(75)自現⑧〈元〉復興相

 熊谷  智(44)共新 党地区委員長

2021年の前回選挙の結果

●1区 [当]金子 立 123,620

    [比当]亀岡 自 118,074

●2区 [当]根本 自 102,638

    [比当]馬場雄基 立 85,501

●3区 [当]玄葉 立  90,457

    [比当]上杉謙太郎 自 76,302

●4区 [当]小熊 立 76,683

    [比当]菅家 自 73,784

●5区 [当]吉野 自 93,325

     熊谷 共 55,619

(敬称略。「自」は自民、「立」は立憲、「共」は共産の略。現は小選挙区で当選した現職、[現]は比例区で当選した現職、新は新顔。丸内の数字は衆院での当選回数。予想顔ぶれの並び順は、現在の衆院の勢力順)

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