「バケツ放流」もうやめよう 善意の結果が悪影響、見直しへの動きも

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小坪遊
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 北海道庁が今春、道の冊子「フィッシングルール2024『Rule & Manner』」に、ある制度のことを記載した。知り合いの研究者から教えてもらった。

 制度は、ヤマメやニジマスなどの放流を検討する市民団体や釣り関係者に、事前に道や専門機関へ相談してもらうという内容だ。

 この相談制度、道漁業管理課によると、以前からあったものの、今回改めて冊子にヤマメやニジマスという具体的な魚種名とともに明記し、利用を呼びかけたという。道内水面漁場管理委員会の杉若圭一会長は「個人の見解」とした上で、「相談制度は、義務ではなく『お願い』であるが、文字となって残るのはよいことだと考えている」と言う。

放流にさまざまなリスク

 背景にあるのは、放流のリスクだ。専門家が関与した一部の事例をのぞけば、環境に大きな悪影響を及ぼす恐れがあることが知られつつある。

 杉若さんの説明によると、ヤ…

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この記事を書いた人
小坪遊
科学みらい部兼くらし報道部次長
専門・関心分野
生物多様性
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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2024年7月10日14時0分 投稿
    【視点】

    メディアの自己反省も含めて、「バケツ放流」の問題点と対処方法がわかりやすく整理されている素晴らしい記事。環境問題が難しいのは、個々人の善意や意図と、生態系への影響とが結びつきにくいことだ。ときにはこのように、良かれと思ってやったことが環境に

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2024年7月10日22時54分 投稿
    【視点】

     佐倉統先生が<地道な研究成果を拾い上げた記者の目配りとセンスに敬意を表したいと思う>とコメントしていますが、私も同じ意見です。自然科学系の学知の成果を一般の人々に伝えるためにはサイエンスコミュニケーションが重要になります。 <サイエンス

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