道後温泉にアートは必要か 管理のトップが見すえる10年、20年先

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神谷毅
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 松山市の10㌔余り沖合に浮かぶ離島、中島。杉村幸紀さん(57)は、そこで生まれ育った。幼いころ、海を渡って両親に道後温泉本館へ連れていってもらったとは聞かされた。ただ、物心がつく前で覚えていない。

 高校は松山市中心部に下宿をして通った。卒業すると島に戻り、当時の中島町役場に就職した。

 2005年1月、町は「平成の大合併」で旧北条市とともに松山市と合併した。杉村さんは、市の職員となった。その後は税関係の部署などで働いた。

 2023年4月、人事異動で、市の道後温泉事務所の所長に。道後温泉本館の保存修理工事がもうすぐ終わることは知っていたが、まさかその「仕上げ」にあたる時期に、自分が温泉を管理する組織のトップになるとは、思ってもいなかった。

 「部分営業から全面営業再開に切り替わる場面に直面するわけです。愛媛の観光のシンボルで働けるうれしさがあった一方、全国的に有名な、あの道後温泉に戻さなければいけないのだという責任が、重くのしかかってきました」

求められたのは「調整」役

 道後温泉事務所は、道後温泉本館と、道後温泉別館・飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)、椿(つばき)の湯の三つの施設の運営や、源泉の管理をしている。

 職員は20人あまり。道後温泉にかかわる観光振興や誘客、まちづくりなどを企画する役割も担っている。

 杉村さんが道後温泉で働き始…

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    BossB
    (天文物理学者・信州大准教授)
    2024年7月11日14時0分 投稿
    【視点】

    BrooklynとかNew Yorkとかデカデカと壁にアートしたり、なんちゃって自由の女神があったりする、西洋都市のまねが大好きな東京や他都市の街並み(全てがそうだとは言っていない)よりも、道後温泉を取り巻くアートはオリジナルでユニークで、

    …続きを読む