福祉施設「グリーンヒルうらわ」廃止条例案を可決 さいたま市議会

岩堀滋
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 さいたま市が公設民営方式で運営する高齢者福祉施設「グリーンヒルうらわ」(同市緑区)について、同市議会は28日の本会議で、市が提出していた廃止条例案を賛成多数で可決した。保健福祉委員会が同日提出した付帯決議も可決した。

 付帯決議は、他の施設へ移るための手続きについてのサポート体制の構築や、適切な一時金の支給など5項目の実施を強く求めるとしている。

 本会議の質疑では、「(同様の民間施設が増えたことを踏まえて)民間に任せる姿勢は無責任極まりない」「より多くの法人に譲渡交渉をすべきだ」などの反対意見のほか、「30億円の修繕費用見込みや年間8千万円の赤字などを判断し、廃止はやむを得ない」といった賛成意見も出た。

 議案の可決を受け、施設内の介護老人保健施設「きんもくせい」を妻が利用し、廃止撤回を求める市民団体代表の内藤正弘さん(77)は「グリーンヒルうらわは全国の先駆的施設と委員会の質疑で称賛されたのに、こうした結果は残念。住民生活や福祉の向上という地方自治体の本旨を逸脱しており許しがたい」とし、「今後は付帯決議の実行を見守りたい」とコメントした。

 また、施設職員と元職員、利用者らでつくる「グリーンヒルうらわ職員ユニオン」も、「この暴挙を徹底的に弾劾(だんがい)し、廃止撤回を実現するための活動を続ける」とのコメントを出した。

 市議会は、日野徹副市長の再任と、小川博之副市長の後任に国土交通省都市計画調査室長の新屋千樹氏(52)を選任する両議案にも同意し、閉会した。(岩堀滋)

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この記事を書いた人
岩堀滋
さいたま総局|さいたま市政担当
専門・関心分野
障害者福祉、医療、地方自治