「ハゲ」いじってもいいの? 自身の違和感をネタにしたM1決勝芸人

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高橋尚之
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 2023年末のM―1グランプリで、初の決勝進出を果たした「シシガシラ」。容姿をネタにすることが避けられる傾向にある昨今、大舞台で2本続けて「ハゲネタ」を披露し、周囲を驚かせました。実は時代にあわせ、従来とは違うネタの作り方をしているといいます。「ハゲているほう」としてツッコミを担当する脇田さん(42)と、相方でボケ役の浜中英昌さん(40)に話を聞きました。(聞き手=高橋尚之)

――そもそもハゲネタをやるようになったきっかけは。

脇田さん(以下敬称略) コンビを結成したのは2018年で、すでに僕はハゲていましたが、最初はハゲと関係ないネタを芸人仲間の前で披露しました。そしたら「え、普通のネタをやるんですか」といった反応をされてしまって。みんなが「見たことのないハゲネタを見てみたい」と言うので、チャレンジしてみることにしました。

――当時は、ハゲネタを十八番とするトレンディエンジェルが、2015年のM―1で優勝した後ですよね。どうやって差別化をはかったのでしょうか。

脇田 まさに、ハゲネタはやり尽くされていると感じていました。そこで、トレンディエンジェルのネタにかぶらないよう、すき間すき間を狙っていくなかでできたのが今のスタイルです。

浜中さん(以下敬称略) 僕ら2人とも、漫才の構成やロジックで笑わせるネタが好きなんですが、それをハゲと絡めるパターンはこれまでなかった。このパターンをうまくできたら、過去にないすき間のネタとしていけるんじゃないか、と考えたんです。18年のM―1で準々決勝まで進むことができて、この方向なら通用するんだなと手応えを得ることができました。

――たしかにトレンディエンジェルの「斎藤さんだぞ」というギャグを始め、従来のハゲネタは、瞬発的な動きやビジュアルで笑わせるものが多かったと思います。いっぽうシシガシラは、ネタ全体を通して聞くことで笑いが起きる仕組みになっていますね。

浜中 僕らのネタは長い尺で見てもらわないと伝わらない分、瞬間的に切り取ったり、まねしたりすることが難しい。その分小学生とかの悪ふざけに使われにくい、という面もあるんじゃないかと思っています。

――以前と比べてコンプライアンス意識も高まり、「人を傷つけない笑い」が求められているように思います。ネタ作りは2人でしているとのことですが、どんなところを意識していますか。

「男性の薄毛」はなぜいじられてしまいがちなのか。記事の後半で、識者に背景を聞きました。一方でシシガシラの笑いには、コンプレックスから脱するヒントもあると言います。

お互いの立ち位置をフラットに

脇田 「ハゲのくせに」と見た…

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この記事を書いた人
高橋尚之
デジタル企画報道部
専門・関心分野
災害復興、エネルギー、原発、中小企業