自治体の気候変動対策の難しさ 絶対に必要な「縦」と「横」の協働

有料記事あすを探る

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あすを探る 金森有子さん

 気候変動対策では、自治体に大きな期待が寄せられている。地球温暖化対策推進法(温対法)では2002年の改正の際に、温室効果ガスの排出の抑制などのための施策として、地方公共団体は、国の削減目標達成計画を勘案して施策を総合的・計画的に実施することが定められた。自治体単位で気候変動対策を検討する意図の一つは、自治体の特性を踏まえた削減目標や対策の検討を進めるためである。国全体で検討された対策は必ずしもそれぞれに自治体で対応できるものとは限らない。自治体の資源や環境を踏まえて対策導入の強度を検討することが求められている。

6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は、国立環境研究所主幹研究員の金森有子さんです。

 自治体が自地域の特徴を踏まえた計画を立て対策を実施することは、しごく当然のことと受け取られるかもしれないが、現実には難しい。例えば日本は2030年度に13年度比で46%削減することを目標としている。これに対し自治体の削減目標をどのように決定すべきか。現在は、多くの自治体が国と同様に46%削減するという目標を設定する。しかし、人口の増減など社会経済の変化の方向性が自治体により異なる中で、全ての地域が温室効果ガスの削減目標を同じにすることは衡平だろうか?

 自治体の特徴を捉えた対策の…

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