抜け穴だらけの規正法改正案、衆院通過 「領収書10年も残らない」

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大久保貴裕
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 自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案が6日、衆院を通過した。だが、再発防止の実効性は十分とはいえず、「政治とカネ」の問題をめぐる抜本改革にもほど遠い内容。自民案に賛成した日本維新の会を除き、野党からは「自民案は穴だらけ」などの批判が相次いだ。

 自民は今回の改正案で、再発防止を前面に掲げた。その一つが「政治家への厳罰化」。裏金議員らの多くが「秘書に任せていた」と責任逃れし、そのことが批判を浴びたためだ。会計責任者まかせだった政治資金収支報告書の作成と提出について、議員にも「確認」の義務を課すことが柱。虚偽記載が発覚すれば確認を怠った議員は公民権停止の対象となる。

 だが、議員が何をどこまで「確認」するべきかなどあいまいさが残り、「会計責任者にだまされた。気がつかなかった」と主張すれば、議員の責任が問われない可能性がある。立憲民主党長妻昭政調会長は「会計責任者のせいにして、知らぬ存ぜぬといういつもの言い訳を単に書面に書くものに過ぎず、実効性がない」と批判した。

 そもそも不記載や虚偽記載をめぐっては立件のハードルが高く、議員の「公民権停止」まで及ぶのかどうか疑問が残る。今回の裏金事件では、検察は3千万円以上を立件基準とし、秘書が立件されたのは二階俊博元幹事長ら数人にとどまった。

 もう一つの「再発防止策」が…

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年6月7日0時43分 投稿
    【視点】

    こうなってくると第三者機関の役割が重要になります。 1.政策活動費については、毎年度全議員が領収書とともに第三者機関に収支を提出することが必要です。10年後の公開の主体は第三者機関が行うことになります。そして、第三者機関は、議員の書類をチ

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    永田豊隆
    (朝日新聞記者=貧困、依存症、社会保障)
    2024年6月6日18時19分 投稿
    【視点】

    〈野党各党が改革の「本丸」に掲げていた企業・団体献金の禁止は、自民の改正案に盛り込まれることすらなかった〉 30年前からずっと本丸であり続けて、なおかつ与党が改革に後ろ向きであり続けている「企業・団体献金の禁止」。私は下記の記事を思い出しま

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