共和党重鎮のマコネル氏が上院トップ退任へ トランプ氏の影響拡大も

アメリカ大統領選挙2024

ワシントン=高野遼
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 史上最長の17年間にわたり米上院共和党トップを務めてきたミッチ・マコネル院内総務(82)が28日、11月をもって退任する意向を表明した。党内の重鎮としてトランプ前大統領(77)と対立してきたマコネル氏が退くことにより、トランプ氏の影響力がさらに強まることも考えられる。

 マコネル氏は28日の演説で「次世代のリーダーの出番だ」と述べ、11月の選挙を終えた2025年1月には新しい指導部に移行するとの考えを示した。1985年から務めてきた上院議員は、27年の任期満了まで続ける。

 07年から上院共和党トップを務め、伝統的な保守派の立場で知られてきた。米メディアは「米政治における一つの時代の終わりの始まりだ」(ワシントン・ポスト紙)と伝えている。

ウクライナ支援に積極姿勢、トランプ氏とは対立

 マコネル氏は、外交面では米国が世界に指導力を発揮することを重視し、ウクライナ支援にも積極的な姿勢をみせてきた。トランプ氏が掲げる「米国第一」に象徴される孤立主義的な考えが強まるなか、マコネル氏は党内で「防波堤」の役割も担っていた。

 近年はトランプ氏との対立が目立っていた。前回の大統領選後に起きた21年の連邦議会議事堂襲撃事件では、マコネル氏は「政治的、道義的責任がある」とトランプ氏を批判。これを受けてトランプ氏が上院トップの交代を要求するなど、対立が先鋭化していた。今年の大統領選に向けても、マコネル氏は上院共和党指導部のなかで唯一、トランプ氏への支持を表明していなかった。

 マコネル氏の退任表明を受け、民主党バイデン大統領(81)は「政治的には多くの点で同意できなくとも、長年にわたって誠意をもって協力してきたことを誇りに思う」との声明を出した。(ワシントン=高野遼)

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高野遼
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