名称消滅にジャニーズファン「不安」 推しの退所や不透明な体制懸念

堀越理菜
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 「全てジャニーズとつくものはなくなります」――。2日に発表されたジャニーズ事務所の新体制を、被害を訴える当事者や所属タレントのファンはどう受け止めたのか。評価する声の一方で、長年親しんできた名称が消えることに複雑な思いを抱く人もいる。

 未曽有の性加害問題を受け、ジャニーズが消滅する。この名称を冠したグループも例外なく、名前の変更を求められる。「ジャニーズWEST」のメンバーを応援する女性(28)は、「メンバーたちも事務所名を背負ったグループ名にプライドがあったと思う。簡単に手放せるものではないだろうと、勝手に気持ちを想像して苦しい。事務所が廃業しても『ジャニーズ』とともにあった思い出までなかったことにはされたくない」と語る。

 女性にとって「ジャニーズ」は一つのブランドを表す単語としてなじみ深く、ジャニー氏の名前との結びつきはこれまで意識してこなかった。「ジャニーズという単語自体に罪はないと思うから、正直変えないといけないのか……」と名称変更に抵抗感を抱く。ただ一方で「性加害の被害者もいると言われれば納得せざるを得ない。名前を変えることがメンバーを守ることにもつながるなら」と話す。

 メンバーをジュニア時代から応援してきた。来年、グループはデビュー10周年。コンサートがあるなら、デビューして最初のコンサートで販売されたペンライトを持っていこうと、何年も前からずっと友だちと話してきた。ペンライトには、デビューと共に手に入れた大事なグループ名が書かれている。

 「CDにもコンサートグッズにも、銀テープにも、あらゆるところにグループ名が当たり前にあった。名前に思い出と愛着がつまっていて、なくなるなんて思ってもみなかった」。グループ名が歌詞に入った歌はいくつもある。いつもアンコールでは「ジャニスト、ジャニスト」とコールしてきた。歌番組に出たときに応援しているメンバーが曲中で「どーもー! ジャニーズWESTです!」とうれしそうに言っている姿も思い浮かぶ。

 新しい名前にはすぐになじめないと思うが、「7人が楽しそうにしているところを見ると涙が出るほど幸せな気持ちになる。これから名前が変わっても、7人が面白いと思うことを続けてほしいし、応援したい」。新しい会社の体制は「自由度が高くなる分、メンバーの責任も増すのでは。分からないことが多くてまだ不安だが、残る人たちのことは会社が守ってほしい」。

 関ジャニ∞などを応援する女性(33)も、「ジャニーズ」や「関ジャニ∞」という名前には愛着がある。「名前が変わると聞いて悲しくなった。新しい名前は、メンバーが納得できるものになればいいし、これまで通り彼らのエンタメを届けてほしい」

 事務所が厳しい状況に追い込まれ、タレントたちが退所するのではという不安はある。「退所してももちろん応援するけど、事務所全体が一つのグループのような感覚で応援してきたのでバラバラになってしまうのはさみしい」。新会社では、タレントやエンタメのことをよく分かっている東山氏と井ノ原氏が、外部の声をしっかり取り入れながら進んでいってほしいと願っている。

 その上で、この1カ月間、社会のこの問題との向き合い方に憤りも感じてきたと話す。「メディアも企業も、疑惑を知らなかったはずはないのに、利益を優先して多くのファンを抱えるジャニーズのタレントを使い続けてきたのでは。それなのに、国連が動くなどした途端に、自社が世間から批判されることをおそれてすぐに契約をやめた。表面的ではない問題との向き合い方をしてほしい」(堀越理菜)

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