たたき込まれた陶芸の伝統、そこからの創造 家業に自分流を貫いて
元朝日新聞記者・田中彰
■土に咲く花:9
土曜日午後7時。食卓を片付けてスライドの上映会が始まる。スクリーンに映し出されるのは中国や朝鮮の古陶磁の名品。「いつの時代のものや」。祖父が質問を繰り出す。スライドのコマがカクカクと進む。「これとこれ、どっちがええ」
小学生のころ、加藤清和さん(53)=大津市=は、毎週土曜日、京都市東山区にある陶芸家の祖父の家に通った。15畳の居間にはいとこらも呼び寄せられた。後継候補の孫らへの祖父流の教育だった。
正解を答えられないとだらだらと続く。8時からはテレビの超人気番組「8時だョ!全員集合」が控えている。
「さっさと終わらせたくて必死で覚えた」
中学生になるまでの3年間続…