次世代へつなぐ「事業承継」、能登地震の被災地では課題も

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安田琢典
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 製造業や卸小売業などの中小零細企業や、個人レベルで経営する飲食などの店舗を次世代につなげるための「事業承継」。雇用や技術、サプライチェーン(供給網)などが守られることはもちろん、移住者の受け入れにもつながるとして全国で注目されており、石川県内でも取り組みが進む。

 2015年度に開設された「石川県事業承継・引継ぎ支援センター」(金沢市)は、23年度までに延べ1769件の相談を受け、242事業所で事業承継が成立。相談件数、成立とも年々、増加しているという。

 242事業所のうち、経営者の親族に承継したのは59事業所で、残り183事業所は従業員や第三者が引き継いだ。特に第三者は新規開業をめざす会社員らが多く、県外から移住して開業を希望する若者も目立つという。

 センターの多田久俊センター長は「既に設備がそろっている事業所が多く、譲渡される側は初期投資が少なくてすむ。以前からいるノウハウのある従業員も引き継げるので、すんなりと事業に取りかかれる」とメリットを強調する。

 事業承継するにあたり、センターが重視するのは承継計画書の作成だ。5年くらいかけて金融機関の引き継ぎや経営改善の見通しなどを示した計画書を準備することが望ましいという。

 同県能登町の1908(明治41)年創業の鍛冶(かじ)屋「ふくべ鍛冶」は、2020年1月、父から息子に事業が承継された。

 センターの助言を受けて計画…

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能登半島地震

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