年齢を重ねるほど成熟する「結晶性知能」って? 村上春樹さんが体現
知力や体力の衰えを感じる50歳代以降を幸せに生きるにはどうしたら? 高齢者の心と体を研究する国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の西田裕紀子さんに、57歳の記者が聞きました。作家の村上春樹さんがDJを務めるラジオ番組「村上RADIO」を愛聴する西田さん。たまたま同好だった記者にとって、「村上さんの生き方」を参照しながらお話が聞けて、とても楽しいインタビューになりました。2回に分けてお届けします。(聞き手=浜田陽太郎)
知力の衰えを痛感する50代 どう受け止めたら?
――50歳代後半に入り、体力と知力の衰えを日々感じます。特に、息を吸うようにSNSやICTを使いこなす若い同僚を見ると「ついていけない」自分に不安になります。どう受け止めたらいいでしょうか。
確かに、高齢期の研究をしていると、加齢に関するネガティブなデータを多く目にします。当センター老化疫学研究部では地域住民の方々約4千人を対象に老化の状況について調査していますが、加齢に伴って、握力が弱くなり、聴力が低下し、脳のゆるやかな萎縮もみられるなど、加齢のシビアな現実があります。
一方で、文学、芸術、政治など様々な分野では、若い頃よりも高齢になってから、人生最大の業績を残すことも多いですね。地域で活躍する高齢の方、高齢になっても学びを続ける方も多くいます。
よりポジティブな視点から、中高齢期の知的な能力のありようを見るため、「流動性知能」と「結晶性知能」をわけて考えてみましょう。心理学で長年研究されてきた分類です。
――耳慣れない言葉です。二つの「知能」はどう違うのでしょうか。
50代、60代、70代になっても成長し続ける「知能」とは? 作家の村上春樹さんの最近の活動を例に、西田先生が解き明かします
流動性知能(fluid i…
- 浜田陽太郎
- くらし報道部|社会保障担当
社会保障、定年後
- 【視点】
「50歳代以降を幸せに生きるにはどうしたら?」。 筆者にとっても身近な問いです。興味を持って読み始めました。 でも、ちょっと、「?」と思ったのが、最初の質問で「息を吸うようにSNSやICTを使いこなす若い同僚を見る『ついていけない』自分
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