人生を支える元上司の言葉 「らしさ」求める気鋭のドラァグクイーン

有料記事ほんまもん

聞き手・松沢憲司 写真・田辺拓也
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 サマンサ・アナンサさんは、女性らしさを強調した格好でパフォーマンスをする「ドラァグクイーン」だ。全日空(ANA)グループで働いていたが、2023年に芸能界へ。テレビやラジオのパーソナリティーなど、主に関西で活躍の場を広げている。サマンサさんの背中を押してくれた言葉がある。

大手企業の第一線から「華麗な世界」へ

 ――航空業界からの転身は異色ですよね。

 会社員として03年から16年間、グランドスタッフから始まり国際線の旅客サービスや接遇、人材育成など様々な経験をさせてもらいました。

 その傍ら、ドラァグクイーンとしても活動しました。友人にイベントの司会を頼まれたのがきっかけ。知り合いだったナジャ・グランディーバさんに「素人が普通に司会をしても面白くない。ドラァグクイーンやりなさいよ」と言われてメイクも教えてもらって。自分が解放されたような感覚でした。それからはクラブ活動みたいな感じで、週末のイベントに参加するようになったんです。

 ――会社を辞めたのはなぜなんですか?

 19年にテレビ番組への出演が決まって、会社に迷惑をかけるわけにはいかないと思い退職しました。芸名のアナンサには「ANA」の文字が含まれているんですけど、当初はANAで働いていたこと自体、隠していたんです。創立70周年の23年、OBとして社内のトークイベントに出演依頼をいただきました。それ以降、過去の職歴も公表するようになりました。

 ――多様性が重視される時代ならでは、なのかもしれませんね。

 働いていた時はあくまで男性としてだったので、同僚や親族から「結婚しないの?」と問われると、「意中の人はいるけどなかなかうまくいかなくて」なんて作り話をしていました。

 当時の上司にかけてもらった忘れられない言葉があります。女性だけだった客室乗務員に、男性社員も挑戦できる制度が導入されました。その上司は違う課の課長だったんですが、日頃の働きぶりを評価してくれていて。相談したら「チャレンジしなさい。すごく、あなたらしいと思うから」と背中を押してくれた。結果はだめだったんですけど、「あなたらしいチャレンジだった。この挑戦が何かの突破口になればいい」と言ってくれました。

 ――性自認などは肉親にも相…

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この記事を書いた人
松沢憲司
スポーツ部
専門・関心分野
高校野球、プロ野球
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