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大谷翔平の3度目MVP獲得への異論が噴出(写真・山口裕朗)
大谷翔平の3度目MVP獲得への異論が噴出(写真・山口裕朗)

「大谷翔平はDHでMVPを受賞すべきではない」米メディアが早くも辛辣な反対論を展開…その理由とは?

 ドジャースの大谷翔平(30)が本塁打王争いで独走するなど好調をキープして早くもMVP最有力の声が高まっているが、その一方で、大谷が過去に一度もMVP受賞のないDHであることから、受賞への反対論も出てきた。米のスポーツ解説メディア「ベリーアップスポーツ」が「大谷はMVPに値しない」との辛辣意見を報じた。アンチの声が生まれるのも、スター選手の宿命。大谷は9日(日本時間10日)の敵地でのフィリーズ戦に「1番・DH」でスタメンに名を連ねた。

 

 ドジャースタジアムでは、大谷が打席に立つと時折MVPコールが起きる。3度目のMVP受賞を期待する声が起きるのも無理はない。ここまで88試合に出場して本塁打はナ・リーグトップの28本、打率.314はトップにわずか1厘差で2位、65打点も8点差で3位と“3冠王”を狙える位置にいる。MVPの最有力候補とされていた同僚のムーキー・ベッツが骨折で戦線離脱してからは、ブックメーカーのMVP予想でもトップに踊り出て「ドラフトキング」のオッズは1.43倍となっている。
 だが、その一方でアンチの意見も噴出してきた。これも7億ドルの男の宿命だろう。米のスポーツ解説メディア「ベリーアップスポーツ」の
エリック・カッツ記者が「大谷はMVPに価しない」との見出しを取った記事を発信した。
 同記者は「今季の大谷は登板できないものの攻撃面で力を発揮している。それがドジャースがダイヤモンドバックスに大差をつけてナ・リーグ西地区トップを独走している大きな理由だ。(今オフの)MVP投票で多くのMVP票を獲得することは間違いない。しかし、彼は指名打者に過ぎない。MVPは受賞しないはずだ」と断言した。
 同記者は、ここまでの大谷の数字を紹介しつつ、「大谷はMVP級の数字を残しているが、勝利への貢献は打撃だけでは足りない。大谷は守備では何もしていない」と指摘。
「大谷はファンが思っているほどドジャースの打線に(昨年との)違いをもたらしていない」とも付け加えた。
 さらに「ムーキー・ベッツとマックス・マンシーは故障者リスト入りしているが、フレディ・フリーマン、ウィル・スミス、テオスカー・ヘルナンデスら、エンゼルス時代に比べて、格段にいい選手が周囲にいて恩恵を受けている。もし大谷がいなかったとしてもチームはポストシーズン候補の一角を占めていただろう。彼はチームを格段に良くしたが、彼無しでもチームは崩壊しない」との見解を示した。
 DH制度をア・リーグが導入したのが1973年。ナ・リーグはかたくなにDH制度の導入を拒否してきたが、2020年に新型コロナの影響もあり暫定的に取り入れ、2022年から両リーグ共にDH制度が採用されるようになった。ナ・リーグでのDHの歴史は浅いが、これまで過去にDHでのMVP受賞選手はゼロ。同記者は、「指名打者がMVPを受賞すべきかどうかが議論されたのは、今回が初めてではない」として、2005年のア・リーグのMVP争いを例に出した。
 レッドソックスのデビッド・オルティスが、主にDHで、打率.300、47本塁打、148打点、OPS1.001の数字を残して、チームのポストシーズン進出に貢献したが、MVP投票では、ヤンキースのアレックス・ロドリゲスに1位票で5票上回られて次点に泣いた。同記者は、「オルティスがロドリゲスに敗れた理由は、彼がほとんどフィールドでプレーしなかったためだ。大谷に対しても同じことが言える」と主張した。
「大谷は今季登板しておらず、ドジャースのオフェンスにしか価値を提供していない。大谷がやっていることはフィールドに立つことではなく、打席に立つ順番を待つことだけ。打席に立つだけでフィールドにまったく立つことのない選手にレギュラーシーズン最高の栄誉を与えるべきではない。大谷は特別扱いされるべきではない。野球の試合に勝つには、打撃だけでなく、投手力と守備力が必要であり、チームが成功するためには攻撃よりも大切なことだ。大谷は、攻撃面ですべての価値を提供しているが、試合の1つの局面に貢献しただけで評価されるべきではない」と結論づけた。

 

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