年間100日以上「船の上」にいて、お金を1か月使わなかったことも…30歳・海洋調査員の「知られざる年収」
これまで、正社員でも「子供部屋おじさん」を続けている男性、インドに赴任するも一刻も早い帰宅を夢見る商社マンなど、面白い生き方、働き方をしている人を取材してきた。 【写真】年収3000万円は当たり前!「日本一の金持ち村」ホタテ長者の暮らしぶり 今回は中でも異色の取材対象となるだろう。年間100日間以上を海の上で過ごす、海洋調査に携わる仕事をしている滝さん(仮名・30歳)に話を聞いた。 聞き手:佐藤大輝(ライター/ブラック企業元社員)
年間100日以上を船上で過ごす
――はじめにお仕事について聞かせてください。マグロか何かを釣られているのですか? 昼休憩で大きなカンパチを釣り上げた仲間はいますが、僕たちは漁師ではありません。海洋生態系や海洋環境、それから研究で使う資材の性能などのデータを取っています。平たく言うと、海に関する研究者もしくは調査員です。 ――キャリアについても教えてください。 大学卒業後、今の仕事に就きました。海に対して強いこだわりなどは特になく、理系だったので、自分の学びが生かせる職場で働きたいなって。 入社して数年間は内勤で、コロナが落ち着いた頃から、現場での仕事が増えていき……。気が付いたら年間で100日くらい、船の上で揺られる生活になっていました。今月は2週間海の上。翌月は1週間。再来月は3週間など、研究に出る期間はバラバラです。 ここだけの話、積極的に海に行きたいわけではなく、仕事なので仕方ないと割り切っています。 ――どのような働き方をしてるのですか? サラリーマンが長期出張しているイメージに近いですかね。海にいようが陸にいようが、普通に勤怠を押して、残業したら残業代が出ます。ただし船にいるときは朝日が昇ったら仕事が始まり、沈み始めたら終わる。まるで農家みたいな生活リズムに変わります。 夜の海って真っ暗なんですよ。万が一、海に落ちたら危険なので、夜間は基本的に活動しません。なので、夜は甲板で満天の星空を眺める……みたいなロマンティックな展開もないです。 ちなみに乗組員は99%、男性だけで構成されています。何回か女性が乗船したこともありますけど、そのときは30人いる中で1人とかだったので、みんなやっぱり少しだけ気を遣っていました。船に乗らない日は、家から職場に通ってます。陸にいるときは土日祝日休みです。 ――食事はどうされるんですか? 食事は「司厨員さん」と呼ばれる、ご飯専門の乗組員(船舶料理士)さんが3食作ってくれます。現場作業でのカロリー消費を考え、基本的には爆盛りに近い食事量が提供されます。僕の同僚は1か月間で5キロも太り、ベルトの穴が2つ入らなくなったと嘆いてました。夜食用にカップ麺が置かれていたり、食事量には困りません。 メニューは唐揚げ定食や生姜焼き定食など、日によって決められています。一度だけ、司厨員さんが10人ほど乗っている大型船に乗ったことがあるのですが、このときはビュッフェのような形で食事が提供されました。 ちなみに昼休憩や仕事終わり、釣りをする仕事仲間がパラパラいるのですが、とある先輩が立派なカンパチを釣った日は、夜の食事に1品が加わりました。