「逃げ場のない場所」で働く30歳・海洋調査員の知られざる実態…スマホがつながらないよりも「断トツで辛いこと」
年間100日以上を船上で過ごし、1ヶ月間ほどお金を見なかったこともある30歳・海洋調査員の滝さん(仮名)。その特殊なライフスタイルについては前編記事〈年間100日以上「船の上」にいて、お金を1か月使わなかったことも…30歳・海洋調査員の「知られざる年収」〉で紹介した。本稿では引き続き、海の上での知られざる生活について話を聞いていく。
聞き手:佐藤大輝(ライター/ブラック企業元社員)
船の上で暮らす一番の悩みとは?
――船で暮らす上で、悩みなどはありますか?
断トツで一番辛いのは、船酔いがエグいことです。全然、慣れません。船内でパソコン作業をしている際、その場にいた全員が船酔いになったこともあります。
船酔いがヤバいときは「アネロン」と呼ばれる薬、酔い止めですね、これを飲むことが多いです。適量を守れば、酔い止めには最高の薬なんですが、少し眠くなる副作用があって……。同僚はプラセボ効果で何とかならないかと考え、薬の箱をじーっと眺めてました。
――他に悩みはありますか?
電波が届かないのが当たり前なので、情報がほとんど入ってこないのも不便ですね。自分は最大で2週間くらい連続で、電波が入らない日がありました。一応、衛星からわずかな電波が届くこともあるのですが、ヤフーニュースのトップページに辿り着くことすら難しい。
船に揺られている間にジャニーズが改名していたり、年明けの能登半島地震も、かろうじて地震が発生した情報は届いたのですが、尋常ではない被害だったと知ったのは陸に戻ってからです。船に乗るようになってから「視覚情報の大切さ」を痛感してます。