お客様事例/情報サービス

2024
株式会社シフトセブンコンサルティング

シフトセブンコンサルティング、AWS を利用した『法定調書クラウド』のサービスを開発

国税庁の認定サービスとして法定調書に関する事務処理を効率化

法定調書の提出手続きと事務処理の効率化

データポータビリティの実現により、データの二次利用が容易に

新しいビジネスチャンスの拡大

概要

2022 年 1 月、国税庁は従来の e-Tax、光ディスク、書面に加え、クラウドサービスを使った法定調書の提出を開始しました。この新たな方式では、事業者がクラウドに記録したデータを行政機関がクラウドから取得することで、納税者、行政機関双方 の効率化が期待できます。株式会社シフトセブンコンサルティングがアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に開発した『法定調書クラウド』は、国税庁長官の認定を取得した国内で 2 つ目のクラウドサービス(2023 年 6 月時点)です

株式会社シフトセブンコンサルティング

課題 | 行政サービスの利便性を高めるためクラウドサービスを活用

日本政府は、行政サービスや社会保障などの利便性を向上するためデジタル技術を活用したさまざまな業務変革に取り組んでおり、国税庁が 2022 年に開始した「クラウドサービス等を利用した法定調書の提出」もその 1 つです。これまで法定調書の提出は、e-Tax 提出を除けば、紙の書類や DVD-ROM などの電子媒体の送付によって行われてきましたが、紛失などのセキュリティリスク、大量のデータの受け渡し、受領処理の煩雑化といった課題がありました。また、事業者が年末に締め処理を行った後、国税庁へ提出するまでの期間が短いことも負担になっていました。

「クラウドサービスを利用すると、提出者が指定のクラウド上に法定調書データを置くことで提出が完了し、行政機関はそこから該当データを取得できます。これにより書類の紛失リスク、データ容量や送付時間といった課題の解消が見込めます。また、行政側にも手続きの簡略化、セキュリティの担保という利点があります」と語るのは、国税庁 DX 室の小林秀和氏です。

クラウドサービス等を利用した法定調書の提出には、国税庁長官の認定を受けた専用のクラウドサービスを利用することで、秘匿性を確保しています。2023 年 6 月現在は 2 つのサービスが認定されており、その 1 つが、シフトセブンコンサルティングがAWS 環境を使って開発した『法定調書クラウド』です。

福岡に本拠地を置くシフトセブンコンサルティングは、ふるさと納税に関する業務支援サービスで知られています。同社のふるさと納税業務管理システム『ふるさと納税 do』は 1,230 の自治体に利用されているほか、472 の自治体から関連業務のアウトソーシングも受けています。また、ふるさと納税のオンラインワンストップ申請として 340 万人以上が利用する『自治体マイページ』や、マイナポータル民間送達サービスをはじめとする各種 DX サービスも展開しています。

同社の AWS 活用は 2015 年頃から始まりました。従来のシステム開発プラットフォームでは対応が難しい要件が増えてきたため、汎用性のあるクラウドサービスの利用を模索し、AWS が同社にとって最適なサービスであると判断しました。「サーバーレスやマイクロサービスなどのモダンコンピューティングの概念が注目され始めた時期に AWS のイベントに参加し、そのコンセプトに感銘を受けました。先進技術の採用に加え、特定のプラットフォームに縛られない柔軟性、エンジニアの学習のしやすさなど、AWS には優れた点が多くあります」と、シフトセブンコンサルティングの経営チームリーダー 江口貴樹氏は語ります。

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AWS を活用した法定調書の提出サービスをきっかけに、業務効率化や公的個人認証サービスなど当社が得意とする DX 全般の話に広げていくためのチャレンジを始めています"

江口 貴樹 氏
株式会社シフトセブンコンサルティング 経営チームリーダー

ソリューション | 厳しいセキュリティ要件を満たすシステムを AWS のサービスで実現

2022 年の夏頃、国税庁からマイナポータル民間送達サービスを提供していたシフトセブンコンサルティングに対して、「クラウドサービス等を利用した法定調書の提出」に関して紹介がありました。シフトセブンコンサルティングでは、その後約半年間で主要機能の開発を行うかたわら、認定取得に必要な情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得。そして同社の『法定調書クラウド』は、2023 年 6 月に国税庁の認定クラウドサービスとなりました。

「リソース配備や管理には AWS で使えるテンプレートがあらかじめ用意されていたため、開発は非常にスムーズでした。また、AWS のソリューションアーキテクトには、当社で作成したシステムのアーキテクチャに関するレビューなどのサポートを受けました」(江口氏)国税庁がクラウドサービスの活用を進める目的は、関連書類や記録媒体のやりとりの簡略化だけではないと、小林氏は語ります。

「念頭に置いているのは、データポータビリティの構想です。認定クラウドサービスで法定調書の情報を提出した場合、その情報を確定申告などで利用するという仕組みが広がれば、情報の二次利用が容易になります」

一方、顧客の確定申告の簡略化を目指していち早く『法定調書クラウド』を採用したある大手証券会社で課題となったのが、数千万件を超える大量の口座データをセキュアに転送する手段です。専用線や DVD-ROM などのメディアで送付する代わりに、AWS の転送サービスによって安全かつ低コストでデータの受け渡しが実現しました。

「AWS サービスの利用によって専用線と同等の安全性を持つ環境が構築できることを証券会社様にもご確認いただきました。物理的に送付しないので紛失のリスクもありませんし、専用線を引くよりも低コストでお客様の要望にも柔軟に対応できます。AWS が持つ圧倒的なネットワーク能力を実感しました」(江口氏) 

導入効果 | 行政 DX を通じて、企業のさまざまな課題を解消

国税庁の小林氏は「クラウドを利用した法定調書の提出は、納税者の申告手続きと内部の事務処理の両方において効率化が期待されています。現時点で認定されているサービス事業者は 2 社ですが、シフトセブンコンサルティングのような新しい事業者が参画することにより、利用者にとっては選択肢が広がる大きなメリットがあります。国税庁としては、より多くの事業者が参画することを望んでいます」と語ります。

一方、シフトセブンコンサルティングは『法定調書クラウド』を皮切りに、ふるさと納税業務支援に次ぐ新たな事業への広がりとして、多くの金融機関への取引拡大を目指しています。江口氏は今後の展望について、次のように語っています。「『法定調書クラウド』のご案内を通じて、メガバンク級の金融機関とも接点ができました。法定調書の提出業務をきっかけに、業務効率化や公的個人認証サービスなど当社が得意とする DX 全般の話に広げていければと考えており、新しい次元のチャレンジを始めています。当社の経営陣も、税務行政の DX 支援において活躍できる道筋ができたことに期待を寄せています。テクノロジー面の進化では、今後はあらゆるサービスが AI を基にしたものとなっていくと考えていますので、その点でも AWS からのサポートに期待しています」

カスタマープロフィール: 株式会社シフトセブンコンサルティング

2006 年創業。システム導入実績は 100 社以上と、幅広い業種にわたる企業と取り引きがある。ふるさと納税業務支援システム「ふるさと納税 do」は 2017 年 10 月の提供開始以来、全国 1,230 以上の自治体で利用されている。近年では、自治体における契約締��の電子化、ロボットコールセンターの提供、電気通信工事業界全体の効率化にも取り組んでいる。

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